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新しい生活のはじまり

新しい生活のはじまり

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一太くんと奏音くんのほうが僕よりしっかりしてる。妊娠も子育ても何もかもはじめてだから、戸惑うことばかりで、ふたりの世話だけで一日なんかあっという間に過ぎていくし」
「最初から出来る人間なんていない。四季と和真さんは血の繋がりがない子どもを二人も引き取って育てている。誰にも出来ることじゃない。十八歳といったら、青春を謳歌して、遊びたい盛りだろう。それはそれですごいことなんだぞ。だから悲観するな。それと四季、オヤジは子育てはみんなでするもの。うちの子、よその子関係なく愛情をたっぷり注ぎ、みんなで面倒みる。世話をする。そう常日頃言っている。だから、ここにいる間はオヤジや橘におもいっきり甘えていいからな。遠慮はなしだ。いいな」
「はい」
感極まり泣きそうになりながら何度も頷いた。

「ふたりがなかなか帰ってこないから心配になって未知さんの携帯に何回か電話を掛けたんだ。そしたらみんな仲良く遊んでいるから心配しなくても大丈夫だって言われて。抱っこして階段を登って下さいって和真さんやヤスさん以外の人にはどうしても頼めなくて。ついさっきまで一太くんたちに遊んでもらったんだ」
「そうだったんだ」
「うん」
熟睡している円花を起こさないように彼がそっと頭を撫でてくれた。
簡易的な台所は給湯室にあるし冷蔵庫もある。好きに使っていいからとヤスさんに場所を教えてもらった。
夕飯の買い出しに行こうとしたら柚原さんに呼び止められて。土地勘もないし、方向音痴なんだ。迷子になれたら困ると言われて、明日一番近い、といっても車で十分くらい掛かるみたいだけど、スーパーに連れていってもらえることになった。だから今日だけは橘さんが作ってくれたお弁当を食べることになった。
「いただきます」
和真さんが椅子に座るのを待ってみんなで手を合わせようとしたら、ピンポン、ピンポンと呼び鈴が何回も鳴った。
「誰だろう」
彼がすっと立ち上がりドアに向かった。
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