554 / 577
その後の僕と彼は
その後の
しおりを挟む
あちちだな。汗びっしょりだ」
征之おじちゃんが円花の濡れた髪をタオルで拭いてくれた。
「みんな協力してくれるから助かるな」
「うん」
車椅子に乗ったまま車から下ろしてもらった。
「和真さんどうしたの?」
「ヤスさんから電話だ」
「何かあったのかな」
一抹の不安が脳裏を過った。
暴力団関係者お断りのポスターが病院の出入口にでかでかと貼ってあるから、ヤスさんも迂闊には病院に近寄ることが出来ない。夕貴さんの病室は関係者以外立ち入り禁止になっているけど、鍵が掛かっている訳じゃない。
「分かりました。連絡ありがとうございます。今磐梯山サービスエリアなので………」
ヤスさんと手短に話すとすぐに電話を切った。
「夕貴さんの指が動いたかもって話してくれただろう?」
「うん」
「気のせいじゃなかったよ」
「それじゃあ……」
「あぁ。まだ意識が混濁しているみたいだけど、目を覚ましたって」
「こはるちゃんに伝えなきゃ」
「あぁ、そうだな。急ごう」
彼が車椅子を押してくれた。
ママが目を覚ました。やったー!
飛び上がるくらいこはるちゃんが大喜びする。誰もがそう思っていた。でも実際は……。
「なんで泣くんだ」
「こはるちゃん、しーちゃんがいい」「こはるちゃん、かずにいにがいい」
「こはるちゃん、じぃじとばぁばがいい」
「かえんない。やだ。やだ」
大泣きし首をぶんぶんと横に振った。
何事かとフードコートにいたお客さんの視線が一斉に僕たちに向けられた。
「かずにいにも心春と円花と離れ離れになるのは寂しいよ。しーちゃんもじぃじもばぁばも同じだ」
椅子にちょこんと座るこはるちゃんの前にしゃがむと、笑顔で顔を覗き込んだ。
征之おじちゃんが円花の濡れた髪をタオルで拭いてくれた。
「みんな協力してくれるから助かるな」
「うん」
車椅子に乗ったまま車から下ろしてもらった。
「和真さんどうしたの?」
「ヤスさんから電話だ」
「何かあったのかな」
一抹の不安が脳裏を過った。
暴力団関係者お断りのポスターが病院の出入口にでかでかと貼ってあるから、ヤスさんも迂闊には病院に近寄ることが出来ない。夕貴さんの病室は関係者以外立ち入り禁止になっているけど、鍵が掛かっている訳じゃない。
「分かりました。連絡ありがとうございます。今磐梯山サービスエリアなので………」
ヤスさんと手短に話すとすぐに電話を切った。
「夕貴さんの指が動いたかもって話してくれただろう?」
「うん」
「気のせいじゃなかったよ」
「それじゃあ……」
「あぁ。まだ意識が混濁しているみたいだけど、目を覚ましたって」
「こはるちゃんに伝えなきゃ」
「あぁ、そうだな。急ごう」
彼が車椅子を押してくれた。
ママが目を覚ました。やったー!
飛び上がるくらいこはるちゃんが大喜びする。誰もがそう思っていた。でも実際は……。
「なんで泣くんだ」
「こはるちゃん、しーちゃんがいい」「こはるちゃん、かずにいにがいい」
「こはるちゃん、じぃじとばぁばがいい」
「かえんない。やだ。やだ」
大泣きし首をぶんぶんと横に振った。
何事かとフードコートにいたお客さんの視線が一斉に僕たちに向けられた。
「かずにいにも心春と円花と離れ離れになるのは寂しいよ。しーちゃんもじぃじもばぁばも同じだ」
椅子にちょこんと座るこはるちゃんの前にしゃがむと、笑顔で顔を覗き込んだ。
応援ありがとうございます!
30
お気に入りに追加
241
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる