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新しい出会い

新しい出会い

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「そういえば、女子高校生に美人局をやらせているって風の便りで耳にしたんだが。渋川に無断でバイトに精を出していると粛清されるぞ」
ふん、真山さんが鼻で笑った。
「ヤスは四季の弾よけだ。ヤスの場合、バイトじゃなく人助けだ。お前みたいな悪党と一緒にしてもらったら困る」
お互い一歩も譲らず。
しばらく睨み合ったのち真山さんは路肩に急停車した車に乗り込んでいっ唖然として見ていたら、
「四季、彼がオヤジだ」
「オヤジって?」
「だから、うちの組長だよ」
ヤスさんに言われて二度びっくりした。
「卯月だ」
プラチナに輝く名刺をぽんと渡された。名刺には菱沼ビルディング取締役社長  卯月遥琉と書かれてあった。
「菱沼……ビルディングの……社長さん?」
きょとんとして名刺を見つめていたら、卯月さんにくすっと笑われてしまった。
「笑ったりしてすまなかった。結から聞いていたまんまだったから。社長は世を忍ぶ仮の姿だ。菱沼組組長、卯月遥琉だ。宜しくな。そう身構えるな。別に取って食ったりはしない。ヤスから聞いていると思うが俺にはめんこい女房と子どもがいる。だから、別に変なことはない。下心もない。安心しろ」
「は、はい」
緊張し過ぎて何をどう答えたのか全く覚えていない。

まさかヤスさんと卯月さんと一緒にカフェに向かうことになるとは。ガチガチに緊張し過ぎてハンドリウムを思うようにこげずにいたら、黒服の長身の男性がすっと背後に回り車椅子を押してくれた。無口で無表情で、話し掛けても何一つ答えてくれなかった。
人は見た目で判断しちゃいけない。頭では分かっているものの、びくびくしながら、チラチラと顔色を伺っていたら、男性と目が合ってしまった。ドキッとし、慌てて顔を逸らした。どこを見ていいか分からず下を向いた。
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