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絶望の先にあるのは

絶望の先にあるのは

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「おぃ、副島。どさくさに紛れて何をしてるんだ?」
「何って久し振りに再会した妹に甘えているだけだ。悪いか?」
悪びれる様子もなくにやりと笑うコオお兄ちゃん。
「和真さんとコオお兄ちゃんって、本当の兄弟みたいで面白い。見てて飽きない」
「誰がこんな奴と………」
ふたりの声が見事にハモった。ほら、やっぱり仲良しだ。
「副島、斎藤がなんだって?」
「どっちかといえば和真と四季には朗報かもな。心春にとってはかなり辛いかもな」
「もしかして………保釈金を払い釈放されることなったとか……」
彼の声が動揺し震えていた。
「どこが朗報なんだ。ちっとも嬉しくない」
「まぁ、最後まで聞け」
「真沙哉は心春と円花を認知していない。というか認知するつもりは一切ないらしい。夕貴が俺に内緒で勝手に産んだだけだ。俺は関係ない。施設に預けるなり、里親に預けるなり、あとは煮るなり焼くなり好きにしていい。俺は子どもは嫌いだ。はっきりそう国選弁護人に伝えたそうだ。ふたりも子どもを作っておいてなんて身勝手な男なんだ。呆れてものが言えない」
「心春はどうなるんだ?」
「和真が心春と円花の未成年者後見人になり、四季と一緒にふたりを育てればいいんだよ」
コオお兄ちゃんに然り気無くお腹を撫でられた。
「言い間違えた。いずれ授かる新しい命と一緒に育てればいいんだ、だった。四季の赤ん坊早く見たいな。ママに似てすごく可愛い女の子なんだろうな。心春みたいに人見知りせず、誰からも可愛がられる女の子に育ってほしいな」
「コオお兄ちゃんたら、もう気が早いよ」
恥ずかしくて彼の顔をまともにみることが出来なくて。下を向いた。

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