上 下
520 / 576
絶望の先にあるのは

絶望の先にあるのは

しおりを挟む
帰り際、コオお兄ちゃんがもしかしたら彼女かも知れない。そう言ってひとりの女性の名前を口にした。
「妹の息子が就活中で、そう話していたんだよ」
「彼女に就活中の甥はいない」
「そんな……」
にわかには信じがたい事実に愕然となった。
「社長との不倫がバレて、同僚から陰湿ないじめを受け、それを苦に自殺した女子社員がいたという噂は耳にしたことがある。2年前くらい前だが」
「2年前といえば俺も和真も海外に出張中で、1ヶ月ほど日本を離れていた時だ」
「だから俺たちは何も知らなかった」
「妹を自殺に追い込んだあの人と、あの人の家族に復讐をしようとしているとしたら」
「何としてでも止めなきゃいけない」
城さんに電話を掛け、一刻も早く熊倉さんを見付け保護してほしいと頼んだ。

「熊倉さんね、ボランティアで保護猫のお世話をしているだって。猫にも人にも愛情深い人だって、矢野倉さんや他のパートさんみんな話していたんだよ。なのに何でこんなことに……」
「俺もショックを隠し切れないよ」
彼が宥めるように肩を撫でてくれた。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

BL / 連載中 24h.ポイント:3,429pt お気に入り:2,838

入社式

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

母との最後の2週間

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...