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はじめての家族旅行
はじめての家族旅行
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陶芸体験を無事に終え、出来上がった作品を着払いで発送してもらうよう手続きを済ませ、駐車場に向かっていたら、彼のスマホとコオお兄ちゃんのスマホが同時に鳴り出した。
「誰からだ」
「父さんからだ。和真は?」
「お爺ちゃんからだ」
底の知れぬ不安な感情が湧いてふたりとも顔を曇らせていた。
「和真さん、お爺ちゃんなんて?」
「あの人の妻を名乗る女性からお爺ちゃんに助けを求める電話があったみたいだ。たちの悪い悪戯だと思い相手にせずすぐに電話を切ったみたいだけど、今ごろになって本当に助けを求めていたのかも知れないって。副島、征之さんなんて?」
「うーん」「ええと」といった、ためらいの言葉を使い、顔をしかめるコオお兄ちゃん。混乱しているようだった。
「もしかして、あの人に懸賞金を掛けネットで探していた人が誰か分かったのか?」
彼の問い掛けに、口を開くも言葉が出てこないみたいだった。
「美登里さんの亡霊かもね。この世には自分と瓜二つな人間が三人はいるって聞いたことない?」
「いや、ないけど」
彼が首を横に振った。
「アカウント名、副島まこ。アイコンに使われていた写真は間違いなく俺の母のだ。父さんと阿部さんが確認した」
コオお兄ちゃんの声が震えていた。
「誰からだ」
「父さんからだ。和真は?」
「お爺ちゃんからだ」
底の知れぬ不安な感情が湧いてふたりとも顔を曇らせていた。
「和真さん、お爺ちゃんなんて?」
「あの人の妻を名乗る女性からお爺ちゃんに助けを求める電話があったみたいだ。たちの悪い悪戯だと思い相手にせずすぐに電話を切ったみたいだけど、今ごろになって本当に助けを求めていたのかも知れないって。副島、征之さんなんて?」
「うーん」「ええと」といった、ためらいの言葉を使い、顔をしかめるコオお兄ちゃん。混乱しているようだった。
「もしかして、あの人に懸賞金を掛けネットで探していた人が誰か分かったのか?」
彼の問い掛けに、口を開くも言葉が出てこないみたいだった。
「美登里さんの亡霊かもね。この世には自分と瓜二つな人間が三人はいるって聞いたことない?」
「いや、ないけど」
彼が首を横に振った。
「アカウント名、副島まこ。アイコンに使われていた写真は間違いなく俺の母のだ。父さんと阿部さんが確認した」
コオお兄ちゃんの声が震えていた。
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