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コオお兄ちゃん

コオお兄ちゃん

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「父さん、泣くな」
「そういうお前だって泣いている癖に」
「目にゴミが入っただけだ。泣いてない」
素っ気なく言うとそっぽを向いた。
「四季くんに昔みたく征之おじちゃんって呼んでもらえる日はもう二度と来ないと思っていたから、参ったな、涙が止まらなくなっちゃったよ」
副島さんのお父さんが声を震わせ泣き出した。
「その当時、俺の母さんは趣味が高じて自宅で料理教室を開いたり、自分で作ったフェルトのままごとやおもちゃ、マスクや子供服などをネットで販売していた。四季の両親は共働きで、保育園で四季が熱を出すたび母さんが四季の母親の代わりに迎えに行って母親が迎えにくるまで面倒をみていたんだ」
「コオお兄ちゃんともっと遊びたい。征之おじちゃんと一緒にお風呂に入りたい。まこおばちゃんのご飯、四季まだ食べていないよ。だからおうちに帰りたくない。迎えにくるたび大駄々を捏ねて、しまいには台所の流し台の下に隠れて、お母さんをかなり困らせていたんだよ」
副島さんのお父さんが声を詰まらせながら、昔を懐かしむように台所を見つめた。

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