253 / 647
一生消えない罪
一生消えない罪
しおりを挟む
「四季がきよに抱いているイメージは人当たりがよくて面倒見のいいお姉さん。そんなところだろう?」
「うん」
「それはあくまで表の顔だ。裏の顔は全然違う」
「たもくん?」
「きよは祖父母に溺愛され、我が儘放題に育てられた。小さい頃からなんでも人のものを欲しがり、祖父母はなんでも買い与えていたみたいだ。だから我慢するということを知らないまま育った。きよは、たまに帰ってくる母親の恋人を欲しがるようになった。性に対して早熟だったんだろうな。きよは母親から恋人を寝取った。そのことで母親と取っ組み合いの喧嘩をして、腹いせに自宅に放火し、母親とその恋人を殺してしまった」
たもくんの言う通り、施設に来たとき、きよちゃんは小学生とは思えないくらい大人びていた。
だから男の子にモテモテで、会うたび違う男の子と手を繋いで歩いていた。うんと年の離れた大人の男性とも。夜、こっそり施設を抜け出し、内緒で男の子と会っている噂も絶えなかった。
だからかな、たもくんの告白を聞いても驚かなかった。不思議と冷静でいれた。
「きよの母親が別れ話のもつれから恋人を巻き込んで家に火をつけた。死人に口なしだ。事件そのものが隠蔽された。何でだか分かるか?」
首を横に振った。
「きよは園長の隠し子だ。毎月多額の養育費を母親に渡していたから贅沢のし放題だろう。園長はスキャンダルを恐れ事実をすべて握り潰し闇に葬った。一旦休もう。お腹空いてないか?」
「ううん、大丈夫」
警戒して緊張していたからか、車窓の景色なんて見ている余裕なんかなかった。気付けば、いつの間にかサービスエリアに着いていた。
以前和真さんに連れてきたもらったサービスエリアだ。
「うん」
「それはあくまで表の顔だ。裏の顔は全然違う」
「たもくん?」
「きよは祖父母に溺愛され、我が儘放題に育てられた。小さい頃からなんでも人のものを欲しがり、祖父母はなんでも買い与えていたみたいだ。だから我慢するということを知らないまま育った。きよは、たまに帰ってくる母親の恋人を欲しがるようになった。性に対して早熟だったんだろうな。きよは母親から恋人を寝取った。そのことで母親と取っ組み合いの喧嘩をして、腹いせに自宅に放火し、母親とその恋人を殺してしまった」
たもくんの言う通り、施設に来たとき、きよちゃんは小学生とは思えないくらい大人びていた。
だから男の子にモテモテで、会うたび違う男の子と手を繋いで歩いていた。うんと年の離れた大人の男性とも。夜、こっそり施設を抜け出し、内緒で男の子と会っている噂も絶えなかった。
だからかな、たもくんの告白を聞いても驚かなかった。不思議と冷静でいれた。
「きよの母親が別れ話のもつれから恋人を巻き込んで家に火をつけた。死人に口なしだ。事件そのものが隠蔽された。何でだか分かるか?」
首を横に振った。
「きよは園長の隠し子だ。毎月多額の養育費を母親に渡していたから贅沢のし放題だろう。園長はスキャンダルを恐れ事実をすべて握り潰し闇に葬った。一旦休もう。お腹空いてないか?」
「ううん、大丈夫」
警戒して緊張していたからか、車窓の景色なんて見ている余裕なんかなかった。気付けば、いつの間にかサービスエリアに着いていた。
以前和真さんに連れてきたもらったサービスエリアだ。
21
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
花婿候補は冴えないαでした
一
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。
彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。
だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。
どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる