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暗澹

暗澹

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ー初めまして。初瀬川隆之はつせがわたかゆきです。初瀬川咲花はつせがわはなの弟です。姉を懸命に探してくれていると朝宮さんから聞いて正直驚きました。被害者少年の名前は長澤四季。事故で脊髄を損傷し車椅子生活を送っている。両親を失い、しらさぎの丘児童養護施設で暮らしている。そのことは兄から聞いていていたので知っていました。この2年、家族の人生を狂わせたきみを憎み、恨み続けた。でも、それは間違いだった。憎むべき相手はきみじゃなかったのに……ー
時折声を詰まらせながら言葉を続けた。声だけだから顔は見えないけど、その話し方は初瀬川さんにそっくりだった。
「和真さん、考えたくないけど園長先生が黒幕なの?」
「闇夜に目ありという言葉がある。悪事を働けばいずれ白日の下にさらされ、すべてを失うことになる。告訴状を警察に提出しても受理してもらえるとは限らないが、何もしないよりはマシだ」
僕の不安を拭ってくれるかのように優しい言葉を掛けてくれた。

「さてと、邪魔が入る前に四季に甘えてもいいかな。駄目?」
「えっ……?」
どきっとして顔を上げると、間近から見つめられた。
「約束したよね?」
手をそっと握られ、指に指が絡められた。
それだけでどうしようもなく昂ってしまう自分に戸惑っていると、左手を捧げ持たれ、指先に、そして指輪にそっと口付けられた。
唇がほんの少し触れただけなのに、全身に電気が走る。
「擽ったかったかな?」
「か、和真さん……っ」
身体がますます熱くなり、首を振るのが精一杯で俯くと再び指先に口付けられた。
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