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彼の焼きもち

彼の焼きもち

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「お爺ちゃん大丈夫?」
「儂はこの通りぴんぴんしてる。櫂くん、灯油臭いから結を別の部屋に。県警の捜査員がもうじき来る。面倒なことになる前に、四季くんも隠れていた方がいい」
「お爺ちゃんとお婆ちゃんは?」
「儂らは大丈夫だ。心配してくれてありがとう。ほら、早く」
お爺ちゃんに急かされ、ハンドリムをこいで、結お姉さんと櫂さんの後ろに付いていった。
隠れるといっても場所が限られてて、結局お風呂の脱衣所に身を潜めることにした。
ここなら勝手口が一番近い。
櫂さんに手伝ってもらわないといけないけど、何かあればそこから外に逃げればいい。

「お爺ちゃんがね、犯人は男性じゃなくて、女性かも知れないって」
「どういうこと?」
「ライターを使い慣れていない。走り去るとき、甘いフルーツの香りがしたみたいだよ。結、電話が鳴ってるよ」
櫂さんに言われ、結お姉さんが背負っていたリュックを下ろし中からスマホを取り出した。
赤ちゃんいますと書かれたピンクのマタニティーストラップがゆらゆらと揺れていた。思わず見惚れていたら、
「来年の今頃、四季くんもこれを付けていると思うよ」
結お姉さんにニヤリと笑われてしまった。
「ゆ、ゆ、結お姉さん」
動揺し過ぎて声が裏返ってしまった。
「和真くんがパパになる。なんか不思議な感じだね」
「見た目は大人の男性だけど、中身はお子ちゃまだから和真は。甘えん坊さんだし、構ってちゃんだし、すぐ焼きもち妬くし。絶対、赤ちゃんと四季くんの取り合いをしてそう」
結お姉さんと櫂さんが目を合わせるなり、ぷぷっと吹き出した。
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