176 / 647
彼の焼きもち
彼の焼きもち
しおりを挟む
「お爺ちゃん大丈夫?」
「儂はこの通りぴんぴんしてる。櫂くん、灯油臭いから結を別の部屋に。県警の捜査員がもうじき来る。面倒なことになる前に、四季くんも隠れていた方がいい」
「お爺ちゃんとお婆ちゃんは?」
「儂らは大丈夫だ。心配してくれてありがとう。ほら、早く」
お爺ちゃんに急かされ、ハンドリムをこいで、結お姉さんと櫂さんの後ろに付いていった。
隠れるといっても場所が限られてて、結局お風呂の脱衣所に身を潜めることにした。
ここなら勝手口が一番近い。
櫂さんに手伝ってもらわないといけないけど、何かあればそこから外に逃げればいい。
「お爺ちゃんがね、犯人は男性じゃなくて、女性かも知れないって」
「どういうこと?」
「ライターを使い慣れていない。走り去るとき、甘いフルーツの香りがしたみたいだよ。結、電話が鳴ってるよ」
櫂さんに言われ、結お姉さんが背負っていたリュックを下ろし中からスマホを取り出した。
赤ちゃんいますと書かれたピンクのマタニティーストラップがゆらゆらと揺れていた。思わず見惚れていたら、
「来年の今頃、四季くんもこれを付けていると思うよ」
結お姉さんにニヤリと笑われてしまった。
「ゆ、ゆ、結お姉さん」
動揺し過ぎて声が裏返ってしまった。
「和真くんがパパになる。なんか不思議な感じだね」
「見た目は大人の男性だけど、中身はお子ちゃまだから和真は。甘えん坊さんだし、構ってちゃんだし、すぐ焼きもち妬くし。絶対、赤ちゃんと四季くんの取り合いをしてそう」
結お姉さんと櫂さんが目を合わせるなり、ぷぷっと吹き出した。
「儂はこの通りぴんぴんしてる。櫂くん、灯油臭いから結を別の部屋に。県警の捜査員がもうじき来る。面倒なことになる前に、四季くんも隠れていた方がいい」
「お爺ちゃんとお婆ちゃんは?」
「儂らは大丈夫だ。心配してくれてありがとう。ほら、早く」
お爺ちゃんに急かされ、ハンドリムをこいで、結お姉さんと櫂さんの後ろに付いていった。
隠れるといっても場所が限られてて、結局お風呂の脱衣所に身を潜めることにした。
ここなら勝手口が一番近い。
櫂さんに手伝ってもらわないといけないけど、何かあればそこから外に逃げればいい。
「お爺ちゃんがね、犯人は男性じゃなくて、女性かも知れないって」
「どういうこと?」
「ライターを使い慣れていない。走り去るとき、甘いフルーツの香りがしたみたいだよ。結、電話が鳴ってるよ」
櫂さんに言われ、結お姉さんが背負っていたリュックを下ろし中からスマホを取り出した。
赤ちゃんいますと書かれたピンクのマタニティーストラップがゆらゆらと揺れていた。思わず見惚れていたら、
「来年の今頃、四季くんもこれを付けていると思うよ」
結お姉さんにニヤリと笑われてしまった。
「ゆ、ゆ、結お姉さん」
動揺し過ぎて声が裏返ってしまった。
「和真くんがパパになる。なんか不思議な感じだね」
「見た目は大人の男性だけど、中身はお子ちゃまだから和真は。甘えん坊さんだし、構ってちゃんだし、すぐ焼きもち妬くし。絶対、赤ちゃんと四季くんの取り合いをしてそう」
結お姉さんと櫂さんが目を合わせるなり、ぷぷっと吹き出した。
22
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
花婿候補は冴えないαでした
一
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる