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彼の焼きもち

彼の焼きもち

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「10分おきに着信があった。ストーカーなみのしつこさだな。なんかすっかり目が覚めてしまった」
「俺も」
彼と副島さんが目を合わせるなり、くすっと困ったように笑った。
「四季、施設にいた頃の話しを聞かせてくれないか?もしかしたら、何か手がかりが見付かるかも知れない。園長はどんな人だったんだ?」
「いつもにこにこ笑っていた。怒った顔をほとんど見たことがない。優しいみんなのお父さんって思っていたけど、違った」
「まだそうだって決まった訳じゃないよ」
彼の隣に再び横になると、副島さんがごそごそと身体を寄せてきた。
「副島、それ以上は駄目だ。立入禁止」
「は?四季は俺の妹だ。立入禁止にされる覚えはない」
彼にどんなに睨まれても副島さんはさほど気にせずけろっとしていた。
さすがだ。
「人は見かけによらない。金は人を変える。園長も目の前の大金に目が眩んだのだろう」
副島さんの言う通りだ。
僕が受け取りを拒否した慰謝料。弁護士さんから初瀬川さんのお兄さんに返金されたあと、なぜか園長先生の手に渡ったことが、初瀬川さんの弟さんの証言で明らかになった。
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