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彼との出会い
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「ごめんなさい。あれほど忠告されたのに……」
あのあと熱を出した僕はアルバイトを数日休むことになってしまった。いつもなにかと心配してくれる美紀さんと枡さんには隠し事はできないと何があったか話した。
「藤堂さんって見た目は紳士なのに、けっこう強引な人だったのね」
「枡さん、呑気なことを言ってる場合じゃないですよ。ねぇ桜空、あなたの継父と同じで藤堂さんもどうせ体が目的だろうって私言ったよね?」
「はい、言いました」
「避妊、ちゃんとしたんでしょうね」
「結婚しよう。赤ちゃんが欲しいって……それで……」
「はぁ?マジか」
美紀さんの声色が変わった。
「あの唯花さんがこのままおとなしく引き下がる訳がないわよ。それに手の平を返すように唯花さん以外の人との結婚をあっさりと認めた藤堂さんの親も何かよからぬことを考えているかもしれないわ」
「悪いことは言わないから、今ならまだ間に合うから、面倒なことになるまえに藤堂さんと別れたほうがいいよ」
二人の言っていることはもっともだ。返す言葉も見つからず僕はただ黙って聞いていた。
いかに自分が世間知らずだったのか、身を持って知ることになろうとは思いもしなかった。
それから数日後。アルバイトを終えて家に向かっていたらヤクザみたな人相の悪い男たちに取り囲まれた。有無言わさずに車に無理矢理押し込まれて駅前のアーケード内にある雑居ビルの一階にあるスナックに連れて行かれた。
「可愛い顔して恐ろしい男ね。私の婚約者を色仕掛けで誘惑して寝取るなんて。本当に信じられない」
僕を待ち構えていたのは唯花さんだった。茶髪で柄シャツの派手な身なりの若い男性を二人、両隣に侍らせてカクテルを呑みながら煙草を吸っていた。
あのあと熱を出した僕はアルバイトを数日休むことになってしまった。いつもなにかと心配してくれる美紀さんと枡さんには隠し事はできないと何があったか話した。
「藤堂さんって見た目は紳士なのに、けっこう強引な人だったのね」
「枡さん、呑気なことを言ってる場合じゃないですよ。ねぇ桜空、あなたの継父と同じで藤堂さんもどうせ体が目的だろうって私言ったよね?」
「はい、言いました」
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「結婚しよう。赤ちゃんが欲しいって……それで……」
「はぁ?マジか」
美紀さんの声色が変わった。
「あの唯花さんがこのままおとなしく引き下がる訳がないわよ。それに手の平を返すように唯花さん以外の人との結婚をあっさりと認めた藤堂さんの親も何かよからぬことを考えているかもしれないわ」
「悪いことは言わないから、今ならまだ間に合うから、面倒なことになるまえに藤堂さんと別れたほうがいいよ」
二人の言っていることはもっともだ。返す言葉も見つからず僕はただ黙って聞いていた。
いかに自分が世間知らずだったのか、身を持って知ることになろうとは思いもしなかった。
それから数日後。アルバイトを終えて家に向かっていたらヤクザみたな人相の悪い男たちに取り囲まれた。有無言わさずに車に無理矢理押し込まれて駅前のアーケード内にある雑居ビルの一階にあるスナックに連れて行かれた。
「可愛い顔して恐ろしい男ね。私の婚約者を色仕掛けで誘惑して寝取るなんて。本当に信じられない」
僕を待ち構えていたのは唯花さんだった。茶髪で柄シャツの派手な身なりの若い男性を二人、両隣に侍らせてカクテルを呑みながら煙草を吸っていた。
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