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彼との出会い
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終わったと思っていた初恋が意外な形で動きだした。
「お疲れ様」
仕事が終わりアルバイト先のファミリーレストランを出たところで声を掛けられた。
「今夜七時からレストランを予約していたんだけど、唯花から……唯花は婚約者なんだ。さっき急用が出来たっていきなりドタキャンされたんだ。お金もすでに払っているし、どうせご飯まだだろう?一緒に行かない?」
「あ、でも……この格好ですし。さすがにジーンズとシャツでは……」
「カジュアルなレストランだから気にしなくていいよ。予約時間が迫っているから急ごう」
彼に手を掴まれ近くに停めてあったシルバーの車の助手席に乗せられた。
着いたのは有名な一流ホテルの最上階にある高級レストランだった。呆気にとられ、戸惑う僕を見て彼はすごく楽しそうに笑っていた。夢のような時間はあっという間に過ぎていった。
それから数日後。
「いらっしゃいませ。お冷とおしぼりはドリンクバーにございますので」
男性客を席に案内し軽く会釈して立ち去ろとしたら、
「あなたが半谷桜空さん、ですね?」
フルネームで名前を呼ばれたからどきっとした。
「私、藤堂の秘書をしています。桐島と申します」
名刺を差し出されおっかなびっくり受け取った。
「実を申しますと藤堂が風邪をひいて寝込んでいまして。
熱が下がらないんです。桜空さんに看病をお願いしたいなと。こんなことを頼めるのはあなたしかいない。そう思いましてね」
「許嫁さんは?」
「友だちと旅行に行くからと断られました。それにただの風邪ならいいけどインフルエンザとかうつされたら嫌だとはっきり言われまして。私も泊まりの出張でこれから福岡に行かなければならないんです。一人副社長を自宅に残しておくのが心配でして」
「そうですか。分かりました。僕でお役に立てるなら喜んでお引き受けします」
「あなたならそう仰ると信じていました。ありがとうございます」
これで少しは藤堂さんにお礼が出来るんじゃないか。僕も嬉しかった。
「お疲れ様」
仕事が終わりアルバイト先のファミリーレストランを出たところで声を掛けられた。
「今夜七時からレストランを予約していたんだけど、唯花から……唯花は婚約者なんだ。さっき急用が出来たっていきなりドタキャンされたんだ。お金もすでに払っているし、どうせご飯まだだろう?一緒に行かない?」
「あ、でも……この格好ですし。さすがにジーンズとシャツでは……」
「カジュアルなレストランだから気にしなくていいよ。予約時間が迫っているから急ごう」
彼に手を掴まれ近くに停めてあったシルバーの車の助手席に乗せられた。
着いたのは有名な一流ホテルの最上階にある高級レストランだった。呆気にとられ、戸惑う僕を見て彼はすごく楽しそうに笑っていた。夢のような時間はあっという間に過ぎていった。
それから数日後。
「いらっしゃいませ。お冷とおしぼりはドリンクバーにございますので」
男性客を席に案内し軽く会釈して立ち去ろとしたら、
「あなたが半谷桜空さん、ですね?」
フルネームで名前を呼ばれたからどきっとした。
「私、藤堂の秘書をしています。桐島と申します」
名刺を差し出されおっかなびっくり受け取った。
「実を申しますと藤堂が風邪をひいて寝込んでいまして。
熱が下がらないんです。桜空さんに看病をお願いしたいなと。こんなことを頼めるのはあなたしかいない。そう思いましてね」
「許嫁さんは?」
「友だちと旅行に行くからと断られました。それにただの風邪ならいいけどインフルエンザとかうつされたら嫌だとはっきり言われまして。私も泊まりの出張でこれから福岡に行かなければならないんです。一人副社長を自宅に残しておくのが心配でして」
「そうですか。分かりました。僕でお役に立てるなら喜んでお引き受けします」
「あなたならそう仰ると信じていました。ありがとうございます」
これで少しは藤堂さんにお礼が出来るんじゃないか。僕も嬉しかった。
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