溺愛親王と竜神さまの巫女

ななもりあや

文字の大きさ
上 下
39 / 48

天狗の里

しおりを挟む
「りんの家も賑やかだったが、ここはもっと賑やかだ」
「頼理さま、お体は?」
「青丹殿がりんが煎じてくれた薬草入りの茶を飲ませてくれたからか傷はだいぶ痛まなくなった。でも手はまだ震えが止まらぬが」
耳を気にする頼理さま。
「蜘蛛はもういないと聞いたが、りんに危害が及ばなくて良かった。私だけに取り憑いてくれて良かった」
嬉しそうに微笑む頼理さまを見た瞬間、胸がドキドキして、顔から火が出るくらい恥ずかしくてまともに頼理さまの顔を見ることが出来なくて俯いた。
「邪魔するぞ」
五色の絹で作られた几帳の影から厳つい体格の大男がぬっと姿を現した。
「そちが噂の青丹の妹か?どう見ても男のわらべやだが。まぁ、いい。詮索しても仕方がないからな。儂はこの屋敷の主、黒谷惣右衛門《くろたにのそううえもん》だ。頼理久しいのう」
天狗のお面を外す男性。頼理さまがはっと息を飲んだのが分かった。
「もしや良貴《よしたか》殿ですか?十年前に悪さばかりする天狗の討伐に向かわれてそのまま行方知らずになった」
「天狗を討伐するつもりが臣下の裏切りに遭ってな。死にかけておったところをそこにおる黒緋に助けられた。気付けば天狗の長だ。人生何があるか分からぬのう」
感無量といった面持ちで話す男性。
良貴殿は私の伯父だ。私と同じで長男として生まれ東宮になったが身分を剥奪され廃太子となった。頼理さまが分かりやすように説明してくれた。
「あやかしの里に足繁く通っていると小耳に挟み心配していた。儂の代わりに頼理に首を突っ込むなと忠告してくれと青丹に頼んでいたんだ。命が幾つあっても足りんぞ。現に矢で狙い撃ちされたんだろ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

浅野浩二
恋愛
研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...