溺愛親王と竜神さまの巫女

ななもりあや

文字の大きさ
上 下
19 / 48

運命の相手

しおりを挟む
まわりがこれだけ賑やかでも男性は熟睡していていた。端正な顔には疲れの色が滲み出ていた。目が覚めたら、まずは温かいお粥を食べさせて、それから髪を綺麗に梳かしてあげよう。
おじいちゃんの着流しをおばあちゃんに教えもらいほつれたところを縫い直した経験がまさか役に立つ日が来るなんて。思いもしなかった。裁縫道具である漆塗りの見るからに高そうな針箱は翡翠さまからいただいた。大事にしないとそれこそバチが当たる。
「りんさまは若いのに何でも出来るんですね」
「出来ないことのほうが多いです。勉強だって、成績は後ろから数えたほうが早いし、英語なんていまだにちんぷんかんぷんだし」
「そんなことございませんよ」
浅葱さんが何かに気付きぴょんぴょんと跳ねながら縁側へと向かった。
「雲行きが怪しいですね。ひと雨来そうですね。雨戸を閉めましょう」
「浅葱さん、僕が閉めます。建て付けが悪くて戸がきついから」
立ち上がろうとしたら、
「座ってろ」
顎をしゃくるような低い声がはっきりと聞こえてきて。黒い影が僕の前を風のようにさっと横切っていった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

浅野浩二
恋愛
研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...