溺愛親王と竜神さまの巫女

ななもりあや

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翠鳳さまの娘

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家に着くなりざぁーざぁーと本降りの雨が降りだした。
「白鬼丸濡れてない?」
「人の心配より自分の心配をしろ」
白鬼丸が手拭いを持ってきてくれた。
「りんさま、奥さまの翡翠《ひすい》さまがお呼びです」
浅葱さんの声がして。あちこちキョロキョロと見回していると、
「ここでございます」
白鬼丸の肩にちょこんと座る浅葱さんと目が合った。
「奥さまって、翠鳳さまの?」
「左様でございます。100歳年上でございます」
「え?」
一瞬自分の耳を疑った。聞き間違えじゃないかと思った。
「人間は年を取るが、あやかしたちは年を取らない。こっちの世界では100歳年の差婚夫婦なんて普通みたいだぞ」
「そうなの」
「よくわかんねぇどな。郷にはいったら郷に従えってよく言うし、慣れるしかないんじゃないのか?おぃ蛙、いつまでそこにいるんだ」
迷惑そうに顔をしかめた。
「白鬼丸、蛙じゃなくて浅葱さんだよ。浅葱さん聞いてもいいですか?」
「なんなりと聞いてくださいませ」
「翡翠さまも鬼なんですか?」
「はい。翡翠さまは千里眼でございますから、何でもお見通しでございます。りんさま、翡翠さまの前で嘘をついたら舌を抜かれますからくれぐれも気をつけてくださいね」
笑顔で怖いことをさらりと言われ呆気に取られた。




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