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翠鳳さま
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「俺の顔に何か付いてるのか?」
「白鬼丸のお父さんにあまりにもそっくりなので……」
じろりと見下ろされ身体を縮ませた。
「白鬼丸は俺の末裔だ。似ていても何ら不思議ではない」
白鬼丸のご先祖さまはあやかしの里をおさめる長で、見た目は二十代後半。筋肉隆々で身長は二メートルはゆうに越える。若くて綺麗な女性を二人侍らせ、どんぶりくらいの大きさの盃で酒を上機嫌で呑んでいた。白鬼丸と同じく頭には角が二本生えていた。
「二十年ごとに厄災の年が巡ってくる。竜神に若くて美しい生娘を生け贄として奉納し、あやかしの里を厄災から守ってもらっているんだ。竜神も俺らも基本年は取らない。今年の生け贄は俺の末裔とともに空から降ってくるから拾っておけと竜神に言われたんだよ。おかげで都から女を浚ってくる手間が省けた。でも、まさか男の童《わらべ》が降ってくるとは思わなかったぞ。いくら美しい物が好きとはいえ、竜神も女だけでは満足できずついに男も抱くようになったのか、世も末だな」
「翠鳳さま、お言葉ですが……青丹さまも……」
どこからかしゃがれた声が聞こえてきて、ギクッとする翠鳳さま。
「青丹は勘当した。俺の倅じゃない」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。
声がしたほうを目を凝らして見ると、青い蛙がいた。浴衣みたいな服を着ていた。
「すごい蛙がしゃべってる」
びっくりしていると、
「ここはあやかしの住む里だ。なかなか面白い童だ」
げらげらと翠鳳さまが声を出して笑い出した。
「あ、あの……」
「私浅葱と申します。翠鳳さまが小さい頃からお仕えさせていただいております。よしなに」
「りんです。よろしくお願いします」
何事も最初が肝心。ペコッと頭を下げると、
「りんさま、私どもに頭を下げる必要はございませんよ。あなた様は竜神の巫女さまなんですから。では失礼します」
ピョンピョンと跳び跳ねてどこかに行ってしまった。
「白鬼丸のお父さんにあまりにもそっくりなので……」
じろりと見下ろされ身体を縮ませた。
「白鬼丸は俺の末裔だ。似ていても何ら不思議ではない」
白鬼丸のご先祖さまはあやかしの里をおさめる長で、見た目は二十代後半。筋肉隆々で身長は二メートルはゆうに越える。若くて綺麗な女性を二人侍らせ、どんぶりくらいの大きさの盃で酒を上機嫌で呑んでいた。白鬼丸と同じく頭には角が二本生えていた。
「二十年ごとに厄災の年が巡ってくる。竜神に若くて美しい生娘を生け贄として奉納し、あやかしの里を厄災から守ってもらっているんだ。竜神も俺らも基本年は取らない。今年の生け贄は俺の末裔とともに空から降ってくるから拾っておけと竜神に言われたんだよ。おかげで都から女を浚ってくる手間が省けた。でも、まさか男の童《わらべ》が降ってくるとは思わなかったぞ。いくら美しい物が好きとはいえ、竜神も女だけでは満足できずついに男も抱くようになったのか、世も末だな」
「翠鳳さま、お言葉ですが……青丹さまも……」
どこからかしゃがれた声が聞こえてきて、ギクッとする翠鳳さま。
「青丹は勘当した。俺の倅じゃない」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。
声がしたほうを目を凝らして見ると、青い蛙がいた。浴衣みたいな服を着ていた。
「すごい蛙がしゃべってる」
びっくりしていると、
「ここはあやかしの住む里だ。なかなか面白い童だ」
げらげらと翠鳳さまが声を出して笑い出した。
「あ、あの……」
「私浅葱と申します。翠鳳さまが小さい頃からお仕えさせていただいております。よしなに」
「りんです。よろしくお願いします」
何事も最初が肝心。ペコッと頭を下げると、
「りんさま、私どもに頭を下げる必要はございませんよ。あなた様は竜神の巫女さまなんですから。では失礼します」
ピョンピョンと跳び跳ねてどこかに行ってしまった。
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