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守るべき大切な人
守るべき大切な人
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「タマ、何があった?茂原を本当に殺したのか?タマ、黙っていないで何か言え」
声を荒げ胸倉に掴み掛かろうとした鞠家さんを彼が止めた。
「玉井が人として道に外れるような真似をする訳がないだろう」
「卯月……」
ハッとして彼を見上げる鞠家さん。
「未知や子供達を危険な目に遇わせたコイツが憎い。でも、もし俺が玉井の立場だったら………そう考えたとき、他人事《ひとごと》じゃないような気がした。それに、地竜から聞いて初めて知ったんだが、真っ先にヤツに連絡をしてくれたのが玉井だった。だから、未知や子供達が助かった」
「タマ、疑ったりして悪かった」
鞠家さんが静かに手を下ろした。
「上総も、同じことを言っていた。やっぱり親子だな」
いててと腰を擦りつつお祖父ちゃんが戻ってきた。
「おぃ遥琉、お前の舎弟は何であんなに運転が荒いんだ?死ぬかと思ったぞ」
「すみません」
彼が軽く頭を下げた。
「でも逃げられる前にこうして玉井と会えたんだ。間に合って良かった」
お祖父ちゃんが玉井さんに歩み寄った。
「予想はしていたが、まさか本当に捨て身で黒竜《へイノン》のアジトに乗り込むとはな。なぁ、玉井、命はたった一つしかないんだぞ。お前が死んだら誰が弟の墓参りをするんだ?誰が弔うだ?」
お祖父ちゃんの問い掛けに、玉井さんの瞼から涙が零れ落ちた。
「播本、炎竜の正体は………」
意を決し重たい口を開いた。
「ーー永山一樹だろ?」
「やっぱり知っていたんだ」
「まぁな」
ニヤリと悪戯っぽく笑うお祖父ちゃん。
「永山も遥琉に負けないくらい妬きもち妬きだからな。茂原を護るためなら人を殺すことも躊躇わない男だ。玉井、これ以上永山に深入りするのは危険だ。蜂谷が玄関の前で待っている。自首して罪を償え」
「播本………さん、俺………」
玉井さんはぎゅっ、と上唇を噛み締めた。
声を荒げ胸倉に掴み掛かろうとした鞠家さんを彼が止めた。
「玉井が人として道に外れるような真似をする訳がないだろう」
「卯月……」
ハッとして彼を見上げる鞠家さん。
「未知や子供達を危険な目に遇わせたコイツが憎い。でも、もし俺が玉井の立場だったら………そう考えたとき、他人事《ひとごと》じゃないような気がした。それに、地竜から聞いて初めて知ったんだが、真っ先にヤツに連絡をしてくれたのが玉井だった。だから、未知や子供達が助かった」
「タマ、疑ったりして悪かった」
鞠家さんが静かに手を下ろした。
「上総も、同じことを言っていた。やっぱり親子だな」
いててと腰を擦りつつお祖父ちゃんが戻ってきた。
「おぃ遥琉、お前の舎弟は何であんなに運転が荒いんだ?死ぬかと思ったぞ」
「すみません」
彼が軽く頭を下げた。
「でも逃げられる前にこうして玉井と会えたんだ。間に合って良かった」
お祖父ちゃんが玉井さんに歩み寄った。
「予想はしていたが、まさか本当に捨て身で黒竜《へイノン》のアジトに乗り込むとはな。なぁ、玉井、命はたった一つしかないんだぞ。お前が死んだら誰が弟の墓参りをするんだ?誰が弔うだ?」
お祖父ちゃんの問い掛けに、玉井さんの瞼から涙が零れ落ちた。
「播本、炎竜の正体は………」
意を決し重たい口を開いた。
「ーー永山一樹だろ?」
「やっぱり知っていたんだ」
「まぁな」
ニヤリと悪戯っぽく笑うお祖父ちゃん。
「永山も遥琉に負けないくらい妬きもち妬きだからな。茂原を護るためなら人を殺すことも躊躇わない男だ。玉井、これ以上永山に深入りするのは危険だ。蜂谷が玄関の前で待っている。自首して罪を償え」
「播本………さん、俺………」
玉井さんはぎゅっ、と上唇を噛み締めた。
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