single tear drop

ななもりあや

文字の大きさ
上 下
721 / 799
彼からの告白

彼からの告白

しおりを挟む
『ガウメン  ア(助けて)!!』

ペンションから那和さんの叫び声が聞こえてきた。
早起きが苦手な那和さん。いつもお昼近くまで起きて来ない。
彼と橘さんと柚原さんが那和さんの様子を見に大急ぎで向かった。
「また、黒い虫でもいたんじゃない。那和、虫が嫌いだから」
「昨日も大騒ぎしてたし」
紗智さんと千里さんがそう言うなら、きっと大丈夫だろうと思って彼を待っていたけれど、なかなか戻ってこなくて、子供たちを連れてペンションに戻ると、龍成さんが光希さんにみっちり説教されていた。
その側で肩を震わせ泣きじゃくる那和さんを橘さんが宥めていた。

それを見た千里さん。
彼や遼成に聞く前にピンと来たみたいで、眉を吊り上げ龍成さんにツカツカと歩み寄った。
「おおかた酔っ払って、部屋を間違えたんでしょう。那和がどんだけ怖い思いをしたか、分かってる?龍成!」
怒りの籠った声で怒鳴り散らした。
「千里」遼成さんと光希さんが慌てて止めに入った。
「今後二度と酒絡みで人様に迷惑を掛けない。アタシや裕貴や、播本さんの前でそう約束したわよね。だから、部屋住みを解いて遼成のところに帰した。龍成、アンタを鷲崎に預ける。性根を叩き直してもらいなさい。いいわね」
有無をいわせね圧倒的なオーラを放つ千里さんに、遼成さんも龍成さんも何も言い返すことが出来なかった。

「ボク大丈夫。びっくりしただけ」
那和さんが助け船を出したけど………
「たまにはお灸を据えないと、龍成のためにならない」
怒りが収まらない千里さんにびしっと言われ、口ごもってしまった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

旦那様と僕

三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。 本編完結済。 『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。

処理中です...