single tear drop

ななもりあや

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彼からの告白

彼からの告白

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「遥琉!」その直後、橘さんの怒鳴り声が辺りに響き渡り、青筋を立てて怒りながら部屋に入ってきた。
「はい、すみません」
ベットの上に正座し、しゅんとして首《こうべ》を項垂れる彼。
「すぐ目を離すとこれなんだから。貴方は」
ベットの脇に落ちていた半纏を拾い上げると、埃をばさばさと手で払ってから、肩に羽織らせてくれた。
「こんな寒い夜に暖房もつけず、未知さんに風邪をひかせるつもりですか?」
「は?お前は過保護過ぎるんだよ」
「未知さんは私の可愛い娘です。心配して何が悪いんですか。もうちょっと貴方が未知さんを大事にしてくれれば、私だってこんなこと、言いたくありませんよ」
橘さんにはどう頑張っても口では敵わない彼。
言いまくられたじたじになっていた。
「パパ、だいじょうぶ?」
ちょうどそこへ遥香と手を繋いだ一太がひょっこり姿を現した。
「たちばなさん、パパはね、ママがだいすきなんだよ。だから、ゆるしてあげて」
予想もしていなかった一太の言葉に、彼も橘さんも驚いていた。
「たちばなさん、ごめんなさい」
「謝るのは本当はパパなんですけど………まぁ、今回は一太くんに免じてパパを許してあげます」
「ありがとう」一太がペコリと頭を下げた。
「見ないうちに成長しましたね」
「当たり前だ。一太は俺の自慢の息子だ」
恥ずかしいのか顔をプイッと逸らす彼。
そのあと遥香に「あたちは?」と、うるうるした目で訴え掛けられて、
「頼むから泣かないでくれ。パパ、遥香に泣かれたらすごく困るから。遥香も一太もパパの自慢の子供達だ。二人ともパパとママの子供に産まれてきてくれてありがとうな」
ベットから慌てて飛び下りると、二人をいっぺんに抱きあげてくれた。
「ハルちゃん、パパだいすゅき!」
「いちたも、パパすき!」
「おぅ」
二人にムギューと抱き付かれて、顔が緩みっぱなしになり、デレデレになっていた。
そんな彼を、橘さんはにっこりと穏やかな笑顔で見守っていた。
あれ?さっきは彼のこと散々怒っていたのに。
何だろう、この胸のもやもやは………
橘さんには柚原さんがいるのに。

もしかしてこれって………焼きもち?
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