single tear drop

ななもりあや

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炎竜

炎竜

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「ハルちゃんただいま」光希さんもすぐに気が付いてくれて、手を振ってくれた。
彼と千里さんは早朝訪ねてきた蜂谷さんと玉井さんともう一人、はじめて会う茂原さんという名前の刑事さんとペンションの中でかれこれ二時間近く話をしている。
蜂谷さんも玉井さんも本当は鞠家さんと話しがしたかったみたいだけど、鞠家さんは紗智さんと昨晩出掛けたまま帰ってこない。新婚さんだもの。野暮なことは聞かないの。千里さんに言われ、茂原さんという刑事さん顔を真っ赤にしごほごほと咳き込んでいた。


「君が未知か?」
ドアが開き、声と共に、隙なくスーツを着こなした男性が姿を現した。
見るからにただ者じゃない気配が漂っていた。
(この人が………茂原さん?)
気のせいかな?
なんだかずいぶんと不機嫌そうだ。
口をへの字に曲げ、眉間には深い皺を寄せている。
「おぃ話しが違うだろ」
彼が慌ててあとを追い掛けてきた。
何かを察した橘さんが遥香を抱き上げると、遼成さんと龍成さんが、
「じろじろ見るな」
「みせもんじゃねぇぞ」
鋭い目付きで男をジロリと睨み付けた。
「早く連れていけ」
遼成さんに言われ、橘さんと光希さんが遥香をログハウスへ連れて行ってくれた。
「妻は妊娠している。やっと穏やかな生活に戻ったんだ。そっとしておいてくれ」
「未知は地竜の愛人《アイレン》だ。捜査に協力するのは当たりまえだ。違うか?」
三対一の不利な状況にも関わらず男は一歩も引かなかった。
「茂原、止さんか」
蜂谷さんと玉井さんが血相を変えて駆け付けてくれた。
「未知は関係ない」
「伊澤にもそう言われたはずだ」
「じゃあ聞くが、何で地竜と同じ腕輪をしているんだ?」
「未知はヤツの妹みたいなものだ」
蜂谷さんが目で彼に合図してくれて。
行くぞ、彼に手を引かれログハウスに急いで戻った。
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