single tear drop

ななもりあや

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ゴメンね

ゴメンね

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「ーー・・・・ママ」
「ママ」

誰かが呼んでいる。
小さな手が髪や頬をペタペタと優しく撫でてくれている。
落ち着く心地いい温もり。
そしてふんわりと柔らかな匂い。
これは・・・・・一太と遥香だ。

「ママだいじょうぶ?」

 目を開けると真っ先に心配そうに顔を覗き込む二人が視界に飛び込んできた。

(ごめんね心配を掛けて……)

「たちばなさんに、ママがおきたよっていってくるね」

一太がベットからピョンと飛び下りると、バタバタと元気よく廊下に飛び出していった。

少しの間、気を失っていたみたいだった。

「あかちゃん、ママをまもってくれてありがとう」

小さな手でおなかを擦ってくれた。
ニコニコと溢れんばかりの笑顔を見せる遥香に、気付けば一緒に笑っていた。

「未知~~」心さんが駆け込んできて、ギュッと抱き締められた。

「良かった。意識が戻って」

安堵のため息を漏らすと、

「何で未知ばっかり………こんな目に遭わないといけないの。未知は何も悪いことをしていないのに」

急に涙ぐんで鼻を啜りながらしゃくりあげながら言葉を続けた。

寂しそうにポツンとドアの前に立つ優真くんの姿を見付けた遥香が「ゆうくん」声を掛けると、今にも泣き出しそうになった。

「ゆうくんごめんね。ママにゆうくんのパパ、すこしかしてあげて」

戻ってきた一太が優真くんの頭を撫で撫ですると、たちまち笑顔になった。

「にいにとねえたんとあそぼ」
「うん!」

初対面にも関わらず一太にすぐに懐いた優真くん。一太のことはにいに、遥香のことはねえたんと呼んでいる。

「一太くんありがとう」

「こころおにいちゃん、ママをおねがいします」

ペコリと頭を下げると、右手で遥香の手を、左手で優真くんの手をそれぞれ握り締めると、遊んでこようと二人に声を掛け、元気一杯駆け出した。

「一太くん、見ないうちにしっかり者のお兄ちゃんに成長したね。親父が、菱沼組は遥琉と一太の二枚看板で安泰だって自慢していたよ」

心さんがエヘヘと笑いながら手で涙を拭った。

「あのね、未知・・・・・」

急に声のトーンが下がり、思い詰めたような表情を浮かべた。
何かを言おうとした矢先、裕貴さんが現れた。
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