single tear drop

ななもりあや

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ゴメンね

ゴメンね

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部屋の中ではしゃぐ子供たちの賑やかな声を聞きながら、ふと空を見上げると雲ひとつない青空が悠然と広がっていた。

(今生今世永远爱你《 シォン ジン シー ヨン ユェン アイ ニー》)
誰かの声がふと脳裏に浮かんできた。
日本語じゃないから全く分からない。
忘れる前にメモをしておいて、あとで彼か紗智さん達に聞いてみよう。
ねぇ遥琉さん。
手をそぉーとを伸ばし、彼の手を指先でツンツンした。

「ん?どうした?」

一度鉛筆を持つ真似をしてから、ベッドの脇のテーブルの上に置いてあるペンとメモ紙を指差した。

「あぁ、これか?」

彼はすごい。
僕が言いたいことを的確に理解してくれる。
何年側にいると思ってるんだ?
目の動き、顔の表情、唇の動きである程度は分かるよ。
君のことをこの世界で一番分かっているのは夫である俺だけだ。
でも橘と茨木さんには敵わないが……あぁそうだ。茨木さんってのは未知のお祖父ちゃんだ。苦笑いしながら小声で教えてくれた。

「ん?なんだ?」メモ帳を興味深そうに覗き込んだ彼が紗智さんを呼んでくれた。

「何て書いてあるか分かるか?」

「うん、分かるよ。分かるけど……」

紗智さんが彼の様子を伺うようにチラチラと顔を何度も見ていた。もしかして悪いことを聞いちゃったかな。
慌ててメモ帳を枕の下に押し込んだ。

「俺のことは気にすんな」

「じゃあ、焼きもち妬かない、怒らない。約束して」

「よくわかんねぇけど、分かった」

「生きている限り永遠に君を愛すよ。プロポーズでよく使われる言葉だよ」

彼の表情がみるみるうちに強張っていくのが分かった。
やっぱり聞くんじゃなかった。
後悔しても後の祭りだった。
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