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暗澹
暗澹
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「何があっても君を愛し続ける、組織から絶対に守る抜く、そう誓ったはずだ。だから危険な目には遭わせたくなかった。たとえ、組織に刃向かうことになってもだ」
地竜さんの顔を恐る恐る上目遣いに見上げると、真っ直ぐな眉をわずかに寄せ、真摯な眼差しで瞳を覗き込まれた。
「ずっと愛しているから傍にいてくれ。そうしたら、いつかーー」
俺を愛してくれることもあるのかと、躊躇いがちに尋ねてくる地竜さんに、俯いて首を横に振った。
「ごめんなさい、僕には・・・・・」
「そうだよな。意地悪な質問だったな」
地竜さんは苦しげに笑うと、腕の力を緩めてくれた。
「6人の子供達の手を何があっても離すなよ。未知、最後にどうしても君に会いたかったんだ。ありがとう」
ベットから下りると窓に向かって歩き出した。
その直後、バタンとドアが開いて、
「地竜」
駆け付けてくれた蜂谷さんの鋭い声が部屋中に響いて、「未知大丈夫か」彼が駆け寄ってくれた。
「遥琉さん、一太と遥香は?紗智さんと那和さんを助けないと」
藁をもすがる想いで彼の腕を強く引っ張った。
「未知、まずは落ち着くんだ。一太と遥香は、橘と惣一郎さん、和江さんと一緒だから安心しろ。紗智と那和も無事だ。尊は玉井らサツが行方を追っている。まだ近くに潜んでいるかも知れないから、今は動かない方がいい」
温かくて広い胸に抱き寄せられて。
宥めるように背中を撫でられた。
「おい待て!!」蜂谷さんが地竜さんを呼び止めたけれど、口角を微かに上げニヤリと笑うとそのまま窓から飛び降りた。
地竜さんの顔を恐る恐る上目遣いに見上げると、真っ直ぐな眉をわずかに寄せ、真摯な眼差しで瞳を覗き込まれた。
「ずっと愛しているから傍にいてくれ。そうしたら、いつかーー」
俺を愛してくれることもあるのかと、躊躇いがちに尋ねてくる地竜さんに、俯いて首を横に振った。
「ごめんなさい、僕には・・・・・」
「そうだよな。意地悪な質問だったな」
地竜さんは苦しげに笑うと、腕の力を緩めてくれた。
「6人の子供達の手を何があっても離すなよ。未知、最後にどうしても君に会いたかったんだ。ありがとう」
ベットから下りると窓に向かって歩き出した。
その直後、バタンとドアが開いて、
「地竜」
駆け付けてくれた蜂谷さんの鋭い声が部屋中に響いて、「未知大丈夫か」彼が駆け寄ってくれた。
「遥琉さん、一太と遥香は?紗智さんと那和さんを助けないと」
藁をもすがる想いで彼の腕を強く引っ張った。
「未知、まずは落ち着くんだ。一太と遥香は、橘と惣一郎さん、和江さんと一緒だから安心しろ。紗智と那和も無事だ。尊は玉井らサツが行方を追っている。まだ近くに潜んでいるかも知れないから、今は動かない方がいい」
温かくて広い胸に抱き寄せられて。
宥めるように背中を撫でられた。
「おい待て!!」蜂谷さんが地竜さんを呼び止めたけれど、口角を微かに上げニヤリと笑うとそのまま窓から飛び降りた。
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