single tear drop

ななもりあや

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閨怨

閨怨

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紗智さん達が帰ったあと肩を落とししゅんとして彼が戻ってきた。南先生だけじゃない。橘さんや、度会さんにもかなりみっちりと怒られたみたいで、椅子に腰を下ろすなりため息ばかりついていた。

「ごめんな未知。橘の言うことを聞いて避妊具《ゴム》をちゃんと付けていれば妊娠を避けられたのかも知れない。橘や度会さんは未知の親代わりだ。二人が怒るのも当然だ」

ううん、遥琉さんだけが悪いんじゃないよ。首を横に振った。

「紫さんには、欲しくて作ったんだから、夫婦で責任を持って、5人分け隔てなくちゃんと愛情を注いで育てなきゃダメよ。そう言われた」

おっかなびっくり彼の手がおなかに触れてきた。

「良かった、温かい………さっきはすごく冷たくて心配したんだぞ」

「ごめんね遥琉さん」

「いちいち謝らなくていい。妊娠が確定して安定期に入るまで、箝口令を敷かないとな。ただし親父と茨木さん、あと秦さんだけには、オレの方からちゃんと伝えておく。それでいいか?」

「うん」彼の手の上に自分の手を重ね、にっこりと微笑んで頷いた。
そしたら彼…………

「は、遥琉さん!」

「俺だって未知が可愛くて可愛くてしょうがないだ。エッチが出来ない代わりにキスくらいさせてくれ」

彼の口唇が頬っぺたに触れ、そして唇に触れてきたから慌てた。
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