single tear drop

ななもりあや

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千思万考

千思万考

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家に着くなり寝室に連れていかれて。真沙哉さんと地竜さんに何をされたんだと根掘り葉掘り彼にしつこく聞かれた。やましいことは一切していないって答えたけど、なかなか信じて貰えなかった。

見かねた橘さんや千里さんが助け船を出してくれたけれど、腹の虫が治まらないのか、憮然としていた。



(はぁ~~………)

彼と仲直りが出来ないまま時間だけが過ぎていった。どうしたら信じて貰えるんだろう。
すやすやと眠る子供達の寝顔を眺めながらため息をついた時だった。

「風邪ひくぞ」

柔らかな声がしたかと思ったら、僕の頭にふわっとタオルが掛けられた。

「遥琉さん…………」

驚いて顔をあげると、苦笑いを浮かべて彼が立っていた。
お風呂から上がって濡れたままだった髪をそのまま優しく拭かれ、慌てて首を横に振った。

「一人で出来るから」

「いいから」

軽く受け流され、そのままタオルで拭かれた。
撫でるように髪を拭かれる度、タオル越しに伝わってくる彼の指の感触に胸がドキドキして狼狽えてしまった。

「顔、真っ赤だぞ」

「だって遥琉さんが子供扱いするから」

ほっぺたをこれでもかと膨らませ睨み付けると、ごめんな、そんなつもりはなかったんだ。さっきもごめんな、大人気がなかった、頭《こうべ》を垂れて謝ってくれた。


彼の温かで広い胸に身を委ねながら、無事に帰ってこれた幸せを噛み締めていると、

「今よりももっともっと幸せにするーーだから、これからもずっと側にいてくれ」

温かな声に優しく包まれた。
その温もりが嬉しくて、微笑んで見詰めると、瞼に、そして唇に、大好きな彼の優しいキスがそっと触れてきた。
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