single tear drop

ななもりあや

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千思万考

千思万考

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「いやね、電話が来たときちょうど心に会っていたのよ。上総ちゃんの慌てっぷりがおかしくて・・・・つい思い出しちゃった。着流しのまま靴も履かず外に飛び出して、車出せ‼ってそりゃあもう大騒ぎだったのよ」

千里さんが目を細め、太惺と心望の顔を覗き込んだ。

「ママもたいくんもここちゃんも、一太もハルちゃんも、じぃじやみんなの癒しだからね。二人ともよく頑張ったね。偉いね」

頭を優しく撫でてくれた。

「癒しだなんて・・・遥琉さんやみんなの足を引っ張ってばかりで、迷惑ばかり掛けているのに・・・」

「そんな風に誰も思っていないわ。ねぇ遥琉」

「当たり前だ」

彼がにこって、やっと笑ってくれた。

「あ、あのね・・・・・」

意を決し彼に真沙哉さんの事を聞こうとしたら、千里さんが唇に人差し指を立てて「遥琉じゃなく、上総ちゃんに聞くこと。いいわね」小声で口止めされてしまった。

「ん?何だ?俺には聞かせたくない内緒の話しか?」

「そんな訳ないでしょ。タクシーの運転手さんのことよ」

千里さんが上手い具合に誤魔化してくれた。

「怪我はたいしたことないみたいよ。だから安心して。未知、いつまでも暗い顔をしてちゃダメ。可愛い顔が台無しよ」

千里さんの底抜けに明るい笑顔につられ、気付けば一緒に笑っていた。

阪井組の組長さんに挨拶をしてから帰路についた。お祖父ちゃんとお義父さんに話しがあるからと言われ組事務所に真っ直ぐ向かった。
子供達は彼と千里さんが先に家に連れていってくれた。

「二日後、真沙哉は伊澤と鞠家に付き添われ警察庁に移送されることになった」

開口一番、お義父さんにそう言われ言葉を失った。

タクシーの運転手さんが警察官に、監禁されている人が他にいるかも知れないと話した事から、警察が隠れ家に急行し、真沙哉さんとマーナオさんを保護した。
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