single tear drop

ななもりあや

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つかの間の帰省

紗智さんお見合いする

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ゴールデンウィークに入りすぐに彼の実家に帰省した。いつなんどき、何があるか分からない状況。彼には頼むから大人してくれって何度も言われたけれど………どうしても太惺と心望をお義父さんや那奈姉さん、それに縣さんにも会わせたかったから、何度も何度も彼と話し合い説得した。
「たく、お前は……一度言い出したら聞かないんだから」
やれやれと深いため息をはき、渋々ながらも最後は折れて一泊だけ帰省を認めてくれた。
乗客でごった返す新幹線のホームに下り立つと心さんと千里さんが笑顔で出迎えてくれた。十人近い弾よけの舎弟が周囲を警戒しながら僕たちをぐるりと取り囲んだ。
揃いも揃って強面の大男ばかり。ぴりぴりとした物々しい雰囲気に、回りの乗客はあえて見ないフリをして足早に通り過ぎていった。

最悪の事態に備え福井さんが跡目として指名したのは千里さんだった。
リーは俺や先代、秦さん、それに笹原の命を確実に狙ってくる。千里になら安心して組を任せられる。
福井さんは万が一のことを考え那奈姉さんや子供たちを裕貴さんに託し、リーと刺し違える覚悟を決めた。

「やぁね~アタシもビックリなの~」

いつもと変わらない明るいテンションでひらひらと手を振った。
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