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底なしの憎悪の刃
哀しい真実
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「彩さんのお腹にはね、赤ちゃんがいたの………」
橘さんの服をギュッと掴んだ。
お兄ちゃんと結婚して六年目でやっと授かった新しい命。
『未知、私ね赤ちゃんが出来たの』お兄ちゃんに襲われる前日、弾けるような笑顔を見せてくれた彩さん。
『まだ四週くらいなのよ』
愛しそうにお腹を撫でていた。
でもお兄ちゃんは何故か他人事のようで。鬱陶しそうにそっぽを向いてスマホを片手で弄っていた。
僕の妊娠が分かり、相手がお兄ちゃんだと判明し、そのわずか数日後に彩さんは流産した。
「恨まれても当然のことをした………橘さん、どうしたらいいの?」
冷静さを失い取り乱す僕とは違い、橘さんと琥珀さんは落ち着いていた。
「未知さん」橘さんが背中を優しく擦ってくれた。
「彩さんは子宮外妊娠が原因で流産したと、未知さんのご両親から伺ってます。未知さんは何も悪くないんです。だから自分を責めないでください」
「マー悪くない」
二人に励まされズズっと鼻を啜りながら手の甲で涙をごしごと拭った。
翌日、思いがけない人物が僕を訪ねてきた。
「何で真沙哉の手下がここに?」
琥珀さんの姿を一目見るなり怪訝そうに顔をしかめた。
「今は菱沼組で部屋住みの見習いをしてます」
橘さんの説明に、噂は本当だったんだ。そう口にしながら琥珀さんのことを睨み付けた。
「酷いことして悪かった。代わりに謝る」
「今更遅い」
頭を軽く下げた琥珀さんに、睦さんはプイッとそっぽを向いた。
「真沙哉が両刀遣いだと聞いていたから、連れ去られた時点で何をされるかある程度予想がついていた。大丈夫、そんな柔じゃないから」
気丈にも笑顔をみせた睦さん。本当は一番辛いはずなのに。
橘さんの服をギュッと掴んだ。
お兄ちゃんと結婚して六年目でやっと授かった新しい命。
『未知、私ね赤ちゃんが出来たの』お兄ちゃんに襲われる前日、弾けるような笑顔を見せてくれた彩さん。
『まだ四週くらいなのよ』
愛しそうにお腹を撫でていた。
でもお兄ちゃんは何故か他人事のようで。鬱陶しそうにそっぽを向いてスマホを片手で弄っていた。
僕の妊娠が分かり、相手がお兄ちゃんだと判明し、そのわずか数日後に彩さんは流産した。
「恨まれても当然のことをした………橘さん、どうしたらいいの?」
冷静さを失い取り乱す僕とは違い、橘さんと琥珀さんは落ち着いていた。
「未知さん」橘さんが背中を優しく擦ってくれた。
「彩さんは子宮外妊娠が原因で流産したと、未知さんのご両親から伺ってます。未知さんは何も悪くないんです。だから自分を責めないでください」
「マー悪くない」
二人に励まされズズっと鼻を啜りながら手の甲で涙をごしごと拭った。
翌日、思いがけない人物が僕を訪ねてきた。
「何で真沙哉の手下がここに?」
琥珀さんの姿を一目見るなり怪訝そうに顔をしかめた。
「今は菱沼組で部屋住みの見習いをしてます」
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「酷いことして悪かった。代わりに謝る」
「今更遅い」
頭を軽く下げた琥珀さんに、睦さんはプイッとそっぽを向いた。
「真沙哉が両刀遣いだと聞いていたから、連れ去られた時点で何をされるかある程度予想がついていた。大丈夫、そんな柔じゃないから」
気丈にも笑顔をみせた睦さん。本当は一番辛いはずなのに。
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