single tear drop

お祖父ちゃんと李さん

お祖父ちゃんと李さん

「誉めて貰って嬉しいよ。なぁ、真沙哉、いい加減目を覚ませ。お前だって薄々は気付いているんだろう、本当の悪党は誰か」

お祖父ちゃんの言葉にはっとし、一瞬目を見開く真沙哉さん。

「浩然、ソイツの世迷い言だ。信じるな」

リーさんが真沙哉さんの肩に手を置いた。

「お前は卯月真沙哉じゃねぇ。青蛇のボス、浩然だ、いいな」

脅し付けるように耳元に囁き掛けると、

「老いぼれを生かして帰すな！」

男たちに声を張り上げて命じた。
血走った目をギラギラと輝かせ、ナイフを手にお祖父ちゃんを取り囲むと、奇声をあげながら一斉に飛び掛かった。

「たく今の若い者は血の気が多い輩がやたらと多くて困る」

やれやれとため息をつきながら、折り畳み式のナイフを広げ、怯むことなく舎弟たちと共に男達に立ち向かっていった。

「未知、子供たち守る、俺」

あらかじめお祖父ちゃんに言われていたのだろう。琥珀さんが銃を構えながら、左手を大きく広げた。