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彼の元フィアンセ
彼の元フィアンセ
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「遥琉」橘さんがこめかみに青筋を立てて入ってきた。
「止めろ」あとを追ってきた柚原さんが橘さんを宥めようと手首を掴んだ。
「手を離して下さい」
微笑んでいるものの目は笑っていなかった。
かなり怒っているのは誰の目にも明らかだった。橘さんの性格を誰よりも知る柚原さん。諦めて静かに手を離した。
「遥琉、ちょっと話しがあります。付き合って頂けますか?」
耳朶をむんずと掴むと、そのままベランダへと引っ張って行った。子供たちの転落防止に普段は二重に施錠している窓を荒っぽく開けるとそのまま外に出た。
窓を閉めてても、互いに大声を出しているせいか二人の会話は筒抜けになっていた。
『まずはじめに未知さんに説明するのが先でしょう』
『別に言わなくてもいいだろう。もう16年も昔のことだ』
『だから貴方はダメなんです』
橘さんがこんな風に怒る姿を初めてみたかも知れない。
『遥琉』橘さんが彼の襟首を掴むと、いささか乱暴に引き寄せ、自分の方を向かせた。
『今すぐ未知さんに説明してあげて下さい。さもなければ、未知さんや子供たちを連れて、この家を出ます』
まさかの発言にビックリしたのは柚原さんだった。まさに寝耳に水だったのだろう。
「ちょっと優璃」慌てて二人のところに飛んで行った。
あーうー心望の声が耳に聞こえてきて。
下を向くとパッチリと目を開けてニコニコと機嫌良く笑う心望と目が合った。
【ごめんね、起こしちゃって】
よしよしとあやしていると、
「未知、あ、あのな…………」
彼がシュンと項垂れて戻ってきた。
「隣、いいか?」
いちいち聞かなくてもいいのに。
うん、頷くと「良かった」そんなことを口にしながら隣に腰を下ろしてきた。
「心望、ごめんな。だらしないパパで、本当に面目ない」
彼が謝りながら、その小さく柔らかな手に指をそっと絡めると、笑顔でぎゅっと強く握り返してくれたみたいで、
「心望~~パパ嬉しいよ~~」
その瞬間彼の表情が緩みっぱなしになり、いつのようにデレデレになってしまった。
「止めろ」あとを追ってきた柚原さんが橘さんを宥めようと手首を掴んだ。
「手を離して下さい」
微笑んでいるものの目は笑っていなかった。
かなり怒っているのは誰の目にも明らかだった。橘さんの性格を誰よりも知る柚原さん。諦めて静かに手を離した。
「遥琉、ちょっと話しがあります。付き合って頂けますか?」
耳朶をむんずと掴むと、そのままベランダへと引っ張って行った。子供たちの転落防止に普段は二重に施錠している窓を荒っぽく開けるとそのまま外に出た。
窓を閉めてても、互いに大声を出しているせいか二人の会話は筒抜けになっていた。
『まずはじめに未知さんに説明するのが先でしょう』
『別に言わなくてもいいだろう。もう16年も昔のことだ』
『だから貴方はダメなんです』
橘さんがこんな風に怒る姿を初めてみたかも知れない。
『遥琉』橘さんが彼の襟首を掴むと、いささか乱暴に引き寄せ、自分の方を向かせた。
『今すぐ未知さんに説明してあげて下さい。さもなければ、未知さんや子供たちを連れて、この家を出ます』
まさかの発言にビックリしたのは柚原さんだった。まさに寝耳に水だったのだろう。
「ちょっと優璃」慌てて二人のところに飛んで行った。
あーうー心望の声が耳に聞こえてきて。
下を向くとパッチリと目を開けてニコニコと機嫌良く笑う心望と目が合った。
【ごめんね、起こしちゃって】
よしよしとあやしていると、
「未知、あ、あのな…………」
彼がシュンと項垂れて戻ってきた。
「隣、いいか?」
いちいち聞かなくてもいいのに。
うん、頷くと「良かった」そんなことを口にしながら隣に腰を下ろしてきた。
「心望、ごめんな。だらしないパパで、本当に面目ない」
彼が謝りながら、その小さく柔らかな手に指をそっと絡めると、笑顔でぎゅっと強く握り返してくれたみたいで、
「心望~~パパ嬉しいよ~~」
その瞬間彼の表情が緩みっぱなしになり、いつのようにデレデレになってしまった。
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