single tear drop

ななもりあや

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修羅の妄執

修羅の妄執

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「鷲崎が千里に、贈られて一番嬉しいのは何だ、そう聞いたらしい」

和泉さんがそぉーと手を広げると、太陽の光に照らされキラキラと光り輝くプラチナの指輪があった。

「柚原も五年間、橘に結婚指輪を贈り続けて長年の恋を実らせた。和泉、顔のキズがもし残ったとしても鷲崎は嫌いになんかならないと思うよ。長い間………色恋に鈍感な自分だけを一途に想い続けてくれたお前をそんなので嫌いになんかならない。自信を持て」

「裕貴さんありがとうございます」

指輪を両手で大事そうに抱え、胸の前で抱き締めた和泉さんの目からは大粒の涙が堰を切ったかのように溢れ出た。

「未知、遥琉からの預りものだ」

ポケットから無造作にネックレスを取り出すと首に掛けてくれた。
鮮やかなゴールドのメッセージネックレス。ペンダントトップの裏を見ると、彼のイニシャルと僕のイニシャルが、その下には英文が刻印されてあった。

「直訳すると『貴方の笑顔は私をいつも幸せにしてくれる、君だけを愛している』悪い虫が未知さんに付かないようにと、遥琉が急いで作らせたみたいです。遥琉といい、鷲崎さんといい、皆さん、不器用ですね」

橘さんの言葉は深く胸を揺さぶった。
遥琉さんありがとう。
ペンダントを手で掬い上げ、そおっーと握り締めた。こんなにも大切に想われて、すごく嬉しい。
一日でも早く帰らないと。
彼と子供たち。それに千里さんや組のみんなが首を長くして待ってる菱沼組我が家に・・・・
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