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元婚約者の登場で焼きもち妬きの彼、発動
やましいことはしていないのに
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唇に愉しげな笑みを浮かべながら、僕の下肢に視線を滑らせてきた。
【は、遥琉さん!】
全身にさぁっと朱の色が走った。
力では絶対に敵わないのは分かっていたけれど、渾身の力を込め何とかして手をどかそうとしたけれどびくともしなかった。
「そんなに腰を揺らして・・・煽るのが上手いな未知は。そうやって颯人を誘惑し、たらしこんだのか⁉」
【違う!絶対に違うから!】
信じてもらえない悔しさと、言葉でちゃんと否定する事が出来ない口惜しさで、知らず知らずのうちに涙がじわりと浮かんできた。
【遥琉さん、お願いだから信じて】
ぶんぶんと懸命に首を振って否定した。
「未知は案外、強情っ張りだから、体に聞いた方が手っ取り早いな」
不穏な声に、背筋が強張った。
僕の両脚を掴んだまま、下肢へと顔をゆっくりと下げていった。
ちょうどそのときだった。
ブルブルとスマホが振動しながら、青く点滅をはじめたのは。
最初は無視し相手にもしなかった彼。
一度目はすぐに切れたけれど、そのあとしつこいくらい何度も何度も着信が繰り返されて。苛立ちながらもシーツの上に置いてあったスマホに手を伸ばした。
『遥琉、あなたはバカですか!!』
子供たちの穏やかな寝音しか聞こえないしんと静まり返った部屋の中に響いたのは橘さんの怒鳴り声だった。
【は、遥琉さん!】
全身にさぁっと朱の色が走った。
力では絶対に敵わないのは分かっていたけれど、渾身の力を込め何とかして手をどかそうとしたけれどびくともしなかった。
「そんなに腰を揺らして・・・煽るのが上手いな未知は。そうやって颯人を誘惑し、たらしこんだのか⁉」
【違う!絶対に違うから!】
信じてもらえない悔しさと、言葉でちゃんと否定する事が出来ない口惜しさで、知らず知らずのうちに涙がじわりと浮かんできた。
【遥琉さん、お願いだから信じて】
ぶんぶんと懸命に首を振って否定した。
「未知は案外、強情っ張りだから、体に聞いた方が手っ取り早いな」
不穏な声に、背筋が強張った。
僕の両脚を掴んだまま、下肢へと顔をゆっくりと下げていった。
ちょうどそのときだった。
ブルブルとスマホが振動しながら、青く点滅をはじめたのは。
最初は無視し相手にもしなかった彼。
一度目はすぐに切れたけれど、そのあとしつこいくらい何度も何度も着信が繰り返されて。苛立ちながらもシーツの上に置いてあったスマホに手を伸ばした。
『遥琉、あなたはバカですか!!』
子供たちの穏やかな寝音しか聞こえないしんと静まり返った部屋の中に響いたのは橘さんの怒鳴り声だった。
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