single tear drop

ななもりあや

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かけがえのない大切な家族とともに生きる

かけがえのない家族とともに生きる

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意識を手放すまで立て続けにイカされて……未知のは甘くてすごく美味しいって彼が。蕩けるような声で耳元で何度も囁いてくれた。
結婚して三年。今もこうして変わらずに情熱的に求めてくれることが涙が出るくらい嬉しくて、彼の肩にしがみついて思わず泣き出してしまった。
それからの記憶が曖昧で……

「大丈夫か?」

顔を覗き込まれ、笑顔でこくりと頷くと、彼の目元がふっと和らいで、羽が触れるような優しい口付けをしてくれた。

「最後までしたいけど、これ以上未知に無理をさせたら、隣から苦情がくるから今夜は我慢する。それにしてもやけに静かだと思わないか?」

度会さんちは築100年あまりの純日本家屋。
隣の和室とは襖一枚で仕切られているのみ。鍵は当然ながらついていない。

「未知、これを羽織って」

浴衣を肩に掛けてもらい袖を通すと、前を合わせてくれた。

「隣の様子を見てくる」

【え?】

ムクッと立ち上がった彼の服を咄嗟に掴んだ。

「真っ最中なら声ぐらい聞こえるだろ?」

彼との行為に夢中になっていたから全然気が付かなかったけれど、言われてみれば確かに物音一つしない。

「それが全然聞こえないということは、つまり……」

熟睡中の子供たちを起こさないように、そぉーと静かに襖を両手で開ける彼。
今まで寄り掛かっていたのだろうか。柚原さんが驚いたように彼を見上げていた。

「柚原、橘の真似をする必要はないだろ」

落胆し深いため息をつく彼。

「いやぁ~~悪いな。喋れない未知が、どういう声でなくのか、気になってさぁ」

「あのな……」

「優璃に聞いたら、幼さが少し残る愛らしくて甘い声だって言われて……だから耳を済ませて聞いていたんだ。すっかり聞き惚れていた」

悪びれる様子もなく笑って誤魔化そうとする柚原さんに、さすがの彼も呆れていた。

「未知さんの声は、遥琉だけのものじゃありませんよ」

濡れた髪をタオルで拭きながら、浴衣姿の橘さんが姿を現した。
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