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思いがけない再会
思いがけない再会
しおりを挟む心さんは橘さんの隣に座り、気まずそうにそわそわと忙しなく落ち着かない様子だった。
弓削さんは、長い脚を組んで背凭れに寄り掛かっていた。
「兄貴に隠し事は出来ない。これで分かっただろう橘」
沈黙を破ったのは弓削さんだった。
「遥琉がカタギになった時点で、てっきり兄弟分も解消したと思っていました」
「実の兄弟よりも、堅い契りの義兄弟ーー組は違えど、俺と遥琉は、四分六の兄弟だ。簡単に切れるもんじゃねえよ」
「それも、そうですね」
橘さんがしっかりと口止めしておけば良かったと後悔していた。
「未知がどれくらい具合が悪いか、橘に聞いても、信孝に聞いてものらりくらり、いつまでも埒があかないから、弓削に直接聞いた方が手っ取り早いだろ」
「あなたが動けば、未知さんがここにいるのが間違いなく大上組にばれるんですよ」
「分かってるよ。でも、夫として、妻が大変な時にこそ側にいてやらなかったらどうしようもないだろ。未知や子供たちが待ってるんだ、どんなに危険でも駆け付けるのが当たり前だ」
自分のことより僕のことを気遣い、想ってくれる彼の優しさが涙が出るくらい嬉しかった。
「でね、遥琉。弓削から聞いたと思うんだけど、未知ね双子を妊娠したんだよ」
「えっ……?今、何て言った?」
彼の顔色が一瞬で変わった。
「もしかして何も聞いてないの?」
てっきり彼が知っていると思い込んでいた心さん。彼の驚きように弓削さんを睨み付けた。
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