single tear drop

縣家の嫁

縣家の嫁

「遥琉、未知を危ない目にあわせて本当にすまなかった」

謝罪の言葉を口にし、深々と頭を下げる遼成さん。

「龍、お前からもちゃんと謝れ」

男性を叱りつける遼成さん。俺だって被害者なんだ、そうぶつぶつ独り言を言いながらも頭を下げてくれた。

「末の弟の龍成だ。大上が何を仕掛けてくるか分からないから、飲み会に誘われても断れって口を酸っぱくして言ってたんだが･･･飲み会で知り合った女たちに二次会、三次会と連れ回され、揚げ句にラブホテルに連れ込まれた。そこで待ち構えていたのが大上達だった。遥琉の転居先を聞かれても龍は頑なに口を割らなかった。だからスカルらに未知の両親を襲わせた」

「全部悪いのはオレだから」

二人の後ろからもう一人男性が現れた。
彼ぐらいの年だろうか。優しそうな顔立ちをしていた。前髪をわける仕草が男性とは思えないくらい色っぽくて、腰付きもどちらかといえば女性的で、思わず見惚れてしまった。

「前の日に些細なことで喧嘩して、龍、それで自棄を起こしたんだ。その日のうちに仲直りしておけばこんなことにならなかった。悪いのは、全部オレだから。未知さんすみませんでした」

そう言って男性が深々と頭を下げた。

【遥琉さん、この方は？】

頭の中が混乱する前に彼に助けを求めた。

「光希だよ」
「縣兄弟のカミさんだ」

機嫌が悪い彼の代わりに裕貴さんと笹原さんが答えてくれた。

「喧嘩って言っても、どっちもどっちだろ」
「そう。カミさん一人しかいないんだ。二人で仲良く共有しないから、すぐに喧嘩になるんだろうが」

｢カミさんの尻に敷かれているお前らに言われたくない｣

遼成さんも負けじと言葉を返すも。

｢そういうお前だって、光希の尻に敷かれているだろうが｣

年下の裕貴さんに痛いところをつかれ言葉に詰まっていた。