single tear drop

ななもりあや

文字の大きさ
上 下
148 / 799
守り守られて生きていく

守り守られ生きていく

しおりを挟む
「一太、何度も言ってるだろ?」

「えっとぉ~わすれた」

「あのな・・・」

けろっとして悪びれる様子もなく答える一太に、裕貴さん頭を抱えていた。

そんな二人のやり取りを眺めていた心さんがぷっと吹き出した。

「一太はね、裕お兄ちゃんよりパパが一番格好いいんだよね?」

「うん!」

一太が大きく頷いた。隣で遥香も、ハルちゃんもパパすゅき、と弾む声で答えていた。

「どんなに頑張っても遥琉には敵わないよ」

いつも不機嫌そうにしている心さんが珍しく笑っていた。

遅番の彼を見送ったのち、心さんと裕貴さんに、しばらくの間借りることになった二間続きの客室に案内してもらった。

「必要なものは何でも言え。遠慮することはない」

裕貴さんありがとう、ぺこっと頭を下げた。

「一太、お兄ちゃんと何して遊ぶ?」

「おじちゃんはなにしてあそびたいの?」

「だから、おじちゃんじゃなくて、裕お兄ちゃん」

一太が相手だとどうも調子が狂う裕貴さん。怒るにも怒れなくて。結局、裕おじちゃんで落ち着いたみたい。

「五才児相手にムキになるなんて、裕貴らしくないよ」

頬杖をついて二人のやり取りを見ていた心さんも呆れ果ててた。

「小さい子どもがいるっていいね。大丈夫だよ、ボクは、五月蝿いって言わないから。静かなより賑やかな方がいいし」

何気に心さんと目が合った。

「お義姉さんって呼べばいいんでしょ。言われなくても分かってるし」

恥ずかしいのか耳まで顔を真っ赤にして。ぷっいっとそっぽを向かれた。

「じゃあ、俺もお義姉さんって呼ぼうかな?」

「遥琉に殺されても知らないよ」

「何それ⁉」

「裕貴さぁ、お義姉さんって付くエロ動画見すぎなの。絶対エッチなことしか考えてないでしょう」

心さん、子供達がいる前で、大人の話しはダメ‼

「心がちゃんと構ってくれないからだろ?」

しかも痴話喧嘩まで始めるし。

「なに、まま⁉」

「どちたの⁉」

「何でもないから」

一太も遥香も、大きい目をくりくりさせて、興味津々。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。 1日2話ずつ投稿します。

幸せになりたかった話

幡谷ナツキ
BL
 このまま幸せでいたかった。  このまま幸せになりたかった。  このまま幸せにしたかった。  けれど、まあ、それと全部置いておいて。 「苦労もいつかは笑い話になるかもね」  そんな未来を想像して、一歩踏み出そうじゃないか。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

みどりとあおとあお

うりぼう
BL
明るく元気な双子の弟とは真逆の性格の兄、碧。 ある日、とある男に付き合ってくれないかと言われる。 モテる弟の身代わりだと思っていたけれど、いつからか惹かれてしまっていた。 そんな碧の物語です。 短編。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

処理中です...