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かけがえのない宝物
かけがえのない宝物
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秦さん、トントンと肩を叩いた。
「ん!?どうした未知?」
ポケットからメモとペンを出すより、那奈姉さんに送信したメールの内容を見せた方が手取り早いと思い、手紙をリュックにしまい、代わりにスマホを取り出し手渡した。
「見てもいいのか?」
頷くと秦さんは画面を覗きこんだ。
「有紗の父親が茂原だと知ったのはつい最近だ。一緒に暮らしていながら何一つ気が付かなかった。つくづくダメな父親だ」
深く息を吸い込んでから、ゆっくりと吐き出し、再び肩を落とす秦さん。
「福井と茂原は幼馴染みでな、福井がまず先に俺の舎弟になって、あとを追いかけるように茂原が組に入ってきた。切磋琢磨しながら、お互いライバルとして常に競ってきた仲だ。福井は、どういうわけか有紗の父親が茂原だと知っていた。那奈や茂原が今の今までひた隠しにしていたのに・・・有紗を自分の娘として育てたい。那奈も、組も、有紗も全部自分が守る、だから結婚してほしいとみんなの前で・・・当然茂原もその場にいたがな、那奈にプロポーズしたんだ」
秦さんがスマホを返してくれた。
「茂原には家庭がある。身重の妻と三人の子供が・・・福井は独り身だ」
身重の妻って・・・そんな・・・
「四人目が出来たのに、それを黙って那奈と付き合っていたらしい。俺がもっとはやく2人の関係に気付けば、那奈が傷付くことはなかったのにな」
悔しさを滲ませる秦さん。ぎゅっと上唇を噛み締めた。
「福井はな遥琉と同じように、有紗ちゃんをかけがえのない宝物だと言ったんだ。だから、那奈は茂原と決別し、福井との再婚を決めたんだ」
茨木さんが然り気無くフォローしてくれた。
「ん!?どうした未知?」
ポケットからメモとペンを出すより、那奈姉さんに送信したメールの内容を見せた方が手取り早いと思い、手紙をリュックにしまい、代わりにスマホを取り出し手渡した。
「見てもいいのか?」
頷くと秦さんは画面を覗きこんだ。
「有紗の父親が茂原だと知ったのはつい最近だ。一緒に暮らしていながら何一つ気が付かなかった。つくづくダメな父親だ」
深く息を吸い込んでから、ゆっくりと吐き出し、再び肩を落とす秦さん。
「福井と茂原は幼馴染みでな、福井がまず先に俺の舎弟になって、あとを追いかけるように茂原が組に入ってきた。切磋琢磨しながら、お互いライバルとして常に競ってきた仲だ。福井は、どういうわけか有紗の父親が茂原だと知っていた。那奈や茂原が今の今までひた隠しにしていたのに・・・有紗を自分の娘として育てたい。那奈も、組も、有紗も全部自分が守る、だから結婚してほしいとみんなの前で・・・当然茂原もその場にいたがな、那奈にプロポーズしたんだ」
秦さんがスマホを返してくれた。
「茂原には家庭がある。身重の妻と三人の子供が・・・福井は独り身だ」
身重の妻って・・・そんな・・・
「四人目が出来たのに、それを黙って那奈と付き合っていたらしい。俺がもっとはやく2人の関係に気付けば、那奈が傷付くことはなかったのにな」
悔しさを滲ませる秦さん。ぎゅっと上唇を噛み締めた。
「福井はな遥琉と同じように、有紗ちゃんをかけがえのない宝物だと言ったんだ。だから、那奈は茂原と決別し、福井との再婚を決めたんだ」
茨木さんが然り気無くフォローしてくれた。
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