single tear drop

ななもりあや

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大好きな彼と、一太とはじめてのデート

大好きな彼と、一太とはじめてのデート

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「野郎、組の金持ってズラかりやがった。カシラのお気に入りだか何だか知らんが」

 手持ちぶさたになり、顎にうっすらと生えた髭を指先で弄ぶ男性。 

「まぁ、ええ。野郎が姿見せたら、すぐ連絡寄越せ。万が一でも匿ったりしたら、かわいい息子の命がないと思え。ええな」 

凄味をきかせた低い声で恫喝され、あまりの迫力に縮み上がった。 

「拝島さん、未知にもし何かあったら、そちらの事務所にうちの若い衆が乗り込みますよ。それでもいいんですか?」

 卯月さんが僕を庇うようにすっと前に出た。 

「物珍しいイロを囲ってると噂に聞いていたが、なるほど」

 「未知は未知です。彼を侮辱することは、この俺が許さない」

ニタニタと薄笑いを浮かべる男に、 キッパリそう言い放った卯月さん。 男らしい隆々とした背中はとても誇らしげで、あまりの格好良さに、うっとりと見惚れてしまった。 


「これはこれは、拝島さん。お久し振りですね」

 縣さんが姿を見せた途端、男性の顔色が変わった。

 「卯月さんも人が悪い。縣さんが居るならそう言ってくれればええのに」 

媚を売るように腰を低くし、何度もペコペコと頭を下げそそくさと退散した。 

「手嶌組は、縣一家の枝・・・分かりやすく言うと、縣一家が直参の二次団体で、手嶌組はその下」 

聞き慣れない言葉ばかりで。 頭の中がちんぷんかんぷんになって、更に混乱したのはいうまでもない。
そのあと、おっきなペンギンのぬいぐるみを両腕に抱えた一太と合流し、これから彼氏とデートらしい縣さんと別れ、家路についた。
 そのあと、おっきなペンギンのぬいぐるみを両腕に抱えた一太と合流し、これから彼氏とデートらしい縣さんと別れ家路についた。

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