single tear drop

ななもりあや

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新しい生活

新しい生活

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「気持ちの整理がついたらでいいですよ。卯月は、あなたがちゃんと説明してくれるのを待っていると言ってますし。それまで、ここで、卯月のイロ、つまり、愛人として暮らしてもらいます。話しの辻褄を合わせないと、のちのち少々面倒なので。別に断っても構いませんよ。ここを出た瞬間、手嶌組に連れ去られる覚悟があなたにあるなら、ですが・・・あと、一太くんのことはご心配なく。卯月が自分の息子として責任を持って育てますから」

脅しともとれる彼の言葉。
太一を、息子を置き去りにするなんて出来る訳ないもの。

あくまでフリをしていただければいいんです。あなたみたいな子供に手を出さなくても、卯月には妻がいますし、他にもお付き合いされている方が何人かいますから。さぁ、ご飯にしましょう」

橘さんはすっと立ち上がると、そのまま台所に向かった。
だよね、あれだけ子供好きなんだもの。
自分の子供にだって優しくて面倒見がいいに決まってる。奥さん、キレイな人なんだろうなきっと。
彼に家庭があることを知って、なぜか、心がチクリと傷んだ。

卯月さんはなかなか帰ってこなかった。こんなにも長い時間一太と離れた事がないから、携帯を握りしめ、そわそわしながら、ウロウロしながら帰りをただひたすら待つしかなくて。

茨木さんに無断欠勤してすみませんでした、とメールをしたら、卯月さんが事情を説明しに、一太を伴いお店に来たことを教えてもらった。

『知らなかった事とはいえ、すまなかった。未知にも、一太にも怪我がなくて本当に良かった。卯月さんにしばらくの間、匿って貰うといい』

茨木さんとやり取りしていたら、橘さんが部屋に入ってきた。
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