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第三章 美女だらけのアシャンティ村

可愛い女兵士とバトル!結果は?

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翌日、友徳たちは早朝5時に起きた後、のんびりするまもなく歯を磨いてから、三人一緒に瞑想を行った。三人輪を囲むようにして、学校からの借り物である座布団を折りたたみ、坐禅を組むとそれだけで爽やかな友情を友徳は感じるのだった。

太陽光線が、窓越しに枠取られて黄色のところてんみたいに畳に注ぎ込まれている。そんなこともお構いなしに友徳は慈悲の瞑想を軽く、ヴィパッサナー瞑想を真剣に取り組んだ。

七時前に瞑想が終わった友徳たちは、朝会までの時間、することもないのでまだ敷きっぱなしの布団の上で座り込んだり、窓から身体を乗り出して、遠くから暖かい空気を探して吹き付ける、全身を洗い流すシャワーのような海風を浴びた。そうこうしているうちに部屋に掲げられている時計は朝会までの時を刻々と刻んでいる。

もうさっさといこかと早めに友徳は部屋を出て朝日に照らされて黒豆のように上品に光る廊下を淡々と移動した。友徳にとって瞑想は一日の中で一番重要な仕事である。

それを早朝にすでに終えた彼の足取りは軽く、板敷を小気味良く踏みつけていく。

朝会は今日の段取りが発表された。午前中は農作業で畑を耕し、昼間は調べ物学習に使う自由時間とのこと。

お次は二人の新しい教師が麗子の横に座っており、安藤仁美と小林香織がそれぞれ名乗り出て自己紹介。仁美は普段は村で子供たちの教師をしていて農作業と調べ物学習を手伝うとのこと。香織は運動担当とのこと。

さっそく友徳たちは、古民家の庭に連れ出されて畑を耕すことになった。彼らはスコップを家屋から取り出してから集合して仁美の判断を仰ぐ。

子供達を確認したらしい仁美は、まず自分が土を掘るのを実演する。子供達はそれに倣い、5列を作り出して並ぶ。

身体の熱が筋肉に、しなやかさを与えるのを感じる。その流れを友徳は感じる。

彼は地面に突き刺すスコップの運びが徐々にスピードアップさせる。今の彼は身体を羽のように軽く感じる。

差し込んだスコップで土を掘り返すとサク、サクっと小気味良い地面の抉れる音と共に、これまた気持ちいい腕への適度な負荷を友徳は感じる。熱が強まったところで通力操作をやめると、ドバッと皮膚に大粒の汗が吹き出す。

仁美の元、子供達は丁寧に土を掘り返してならすの作業を午前中に終えることができた。よし!じゃあ休憩!の掛け声のもと、友徳は三和土からそのまま繋がっている台所まで急行し、先に用意されている麦茶を見つけると、ガラスのコップに注いだ。

気を効かせた彼は人数分用意して友達と先生を待った。一人、また一人と台所に現れる子供達は麦茶を見るたびに笑顔を輝かせる。

先に飲み始めた友徳は、手を洗っている友達たちを尻目に、二杯目を注いで極々と飲み干してから椅子に座り込んで、もう一杯。

「流石に結構疲れたね」と正道ものけぞりながら麦茶を飲み干してから一言。

「すっごい汗かいたけど楽しかった!」と飛鳥も同様。

女子たちは少し離れた後で麦茶で一服した後、友徳にお礼を言ってから部屋に引き下がっていった。後は自由時間……何をする?という話題になり、正道も飛鳥も調べ物学習で本を読むと極めて真面目な回答。

じゃあ部屋に引き上げるか!と友徳が合図をし、実際に退こうとすると囲炉裏の方からやってきた香織が「君たち、ちょっと話があるから来てくれない?」と両手で合掌し、申し訳なさそうに眉間を寄せて一言。

友徳は「え?いいですけど」

呼び寄せられた三人が囲炉裏に向かうとそこには恵、香織、そして昨日胸を揉まれた女が各々こじんまりと座っている。友徳は彼女たちと近づき過ぎず遠過ぎずの、ちょうど白っぽく光る黒板をみしみししならせながら座った。

「君、指輪見せてくれる?」と恵は言ってから、友徳がうなづくと豊かな上半身を友徳の方に向け、首を傾げて覗き込んだ。それから「うわぁ……きれい。これがあなたたちの超能力と関係があるんだよね?」

恵は宝石に見惚れてる様子で、友徳の指ごと柔らかいタッチで探っている。友徳は、大きな瞳で宝石に惚れ込むような恵の表情にドキドキ。

恵はいつもどこか不機嫌を翳らせるような顔をあげて友徳と目が合うと、お姉さんらしい優しさでニッコリ。友徳の胸を一瞬騒がしたドキドキも、ポカポカしたお白湯のような友情に変わり、彼もすかさず笑顔を返す。

香織は飛鳥と正道に挟まれながら、彼らの手のひらを優しい手つきで自分に引き寄せてから、宝石を鑑賞している。彼女も宝石に吸い込まれるみたいに瞳を指輪から離さずに夢中の様子。

友徳はそんな彼女たちが可笑しかったし、何より喜んでくれているようで鼻高々。昨日、胸を揉まれた女も遠くから、ムッとしながら瞳に宿す興味津々を隠せていない様子。

普段はしっかりしてるであろう大人の女性たちの子供っぽい振る舞いに友徳はどんどん楽しくなる。

「それで、なんの用ですかぁー?」と友徳は友達に対するのと同じ声色で女性たちを揶揄った。
恵はハッと我に帰り、前屈み上体を後ろに引いてから「私たちはね、この村の兵士なの。それで色々訓練してるんだけど……ほら、見て!」とジャージを脱いだ。

恵がジャージを脱ぐと迫力のある胸とスラッとした華奢な腰の線が同時に浮き出る。友徳は息を飲んでから目のやり場に困り、眼球をうろちょろした後、それは無意味と悟って恵の顔を真正面から見た。

恵は腕を縮め込んで筋肉のコブを作り出してから、年上女性の威厳を表す。そして「ほら、すごいでしょ。うちら、護身術とレスリングで鍛えてんだ。触ってみる?」

コブを触った友徳は確かにこれはすごい!と素直に敬意の眼差しを恵に向けてから「うわ、マッチョじゃん。すげー。で、要件は?」と弟分が姉にじゃれつくように親しげに揶揄った。

「でしょ?それでさ、うち、杏奈ちゃんから聞いてね。友徳くんがシャドウ?っていう怖い宇宙人みたいなのを倒したって聞いたからさ、是非話を聞きたくて」

「あ、倒しましたよ!ワンパンで一発!」

「えぇ!すごい!」と香織は両手を合わせて、感心を表す様子。

「すごいじゃん……それでね、うちらも自分の村は自分で守りたいからさ、友徳くんたちと一緒に格闘訓練をやってみたいんだ。女同士で試合してても伸び代がないと思ってね。通力?だっけ?そういう力を持つあなたたちに色々教えてほしいの」

友徳は褒められて嬉しかったのでシンプルに喜びを表して正道と飛鳥に目配せをした。彼らも友達の喜びを掴み取ってニコニコしている感じ。

「でも、僕たちの力はあくまで通力で……それはあなたたちに教えられませんよ」と正道は恵に興味ありげな視線を向けて、淡々と説明した。その言葉に反応するように胸を揉まれた女は「恵さんは本当にこの子達に学ぶことがあると思ってるの?」と足にナイフが貫通したことを必死に耐えるような悲痛な面持ちで茶々を入れた。

そして「私たちは、こんな子たちに教えてもらうことはないよ。だいたい私たち、その超能力使えないでしょ?」

「いや……でもシャドウを倒した子の試合して学ぶべきことは多いと思うわ。何事もやってみないとわからないわよ。それに通力対策も学べるかもでしょ?ほら、日本軍にもJRLにも変な妖術を使う兵士がかなりいるらしいし……とにかくやってみる価値はあるわ」と香織。

「でも、私たちがこんな子たちに教えてもらうっていうの?」と相変わらずな女。

「聡美。そうじゃなくてだよ?うちらは通力の実際をこの子達から学んで、この子達はうちらからレスリングとか筋トレの仕方とか学べばいいじゃない。そうでしょ?」

相変わらず神経質っぽい女の名は聡美。聡美は黙っている時はその丸くて子供っぽい顔を無表情で固めいているものの、喋り出すと感情が飛び出すタイプ。友徳には苦手なタイプだ。

「あ……でも、通力を使えば……そうですね。僕たちが祝福術っていうのを使えば、通力が使えない人たちを強化することもできますよ」と飛鳥。

香織は相槌を打ってから「へぇ、面白そう。ちょっと今日、私たち暇だから少し、付き合ってくれない?ほら、私たちって普段ほとんど若い女と、それと時々おじいちゃんおばあちゃんの世話してるだけだから、自分たちの実力がどれくらいかわからなくてね。流石に通力なしのあなたたちに負ける気はしないけど」

「あ、一応自由時間だし、付き合ってみる?正道、飛鳥」

「いいけど、女の子には負ける気がしないね」と正道は手に顎を乗せて女性陣をゆっくり見渡してから軽く一言。

「うわ、うちら舐められてるよー。香織、聡美!ちょっとお仕置きが必要だね」と恵は眉をあげ、頬でぎゅっとしたエクボを作ってやる気満々という具合。

「えー、そういうこと言うんだー。ちょっと……いじめちゃおうかな?」と香織はあくまで優雅さを崩さずに正道の土俵に乗る。

「じゃあ、川の横に小さい公園あるから、そこでレスリング対決にしようか!ついてきて!」と恵は手を床につけず足の力だけで立ち上がる。

3vs3の男女対決が始まろうとしていた……


ぼうぼうと雑草が生い茂り美しい草花と無縁な砂利道となっている堤防の真横に、小さな公園はあった。一応、砂利は取り除かれ、灰色の地面が剥き出しになっており、子供の遊び場にはお誂え向き。

友徳は、恵を戦闘にする女性軍を後ろからおって、正道と飛鳥と共にわざと砂利を蹴飛ばして歩いていたが、公園を見つけると女どもを追い抜いて、中に入っていった。犬がドッグランの具合を走り回って確認するように友徳はすばしっこく公園内をふらふらした。

公園の中央で腰に手を当て、スタイル抜群なこともあって、まるで女ヒーローのような恵は「それじゃあ、まずはお互い本気でやろっか!レスリングのルールはわかる?」

子供達は詳しくはわからないと答える。そこに恵は「じゃあ、相手を投げたり地面に押し付けたら終了、でいいね?うちら手加減するけど、あんたたちも気をつけてね!」

そして対戦組を友徳たちは耳元でヒソヒソ話し合った。大将はもちろん正道、中堅友徳、先鋒は飛鳥と素早く決まった。正道は女たちに「おっけ、きまりましたよ」と言うと恵は「うちらも決まったよー」

先鋒戦は飛鳥vs聡美。いつも笑みを絶やさない飛鳥も可愛い女の人との対戦で緊張で表情がぼやけているようだ。聡美は黙り込んで無表情を貫く。

香織が公園の中央に丁寧な円形のリングを描くとルールが新たに追加されて、リングアウトも負けの判定に。男子チーム飛鳥、女性チーム聡美がリングに入った。そして恵がよーい始めっとコール。

腰を下ろし、太ももの筋肉のしなやかに弾むような足取りで聡美は前進した。普段可愛い彼女でもこの様になったキビキビした動きはかっこいい。

飛鳥はレスリングの定石がわからない様子で、聡美の体勢を猿真似している。聡美は腕と腕の差し合いを行いながら徐々に立ち位置をずらしていく。

飛鳥は完全に力負けしていて今にも脇を取られたり、強烈なタックルを喰らいそうなほど体幹がゆらめく。

聡美が上体を飛鳥に倒れ込ませ、一気に足に取りつこうとタックルした時、飛鳥はスンデのところでそれ切り、彼女を地面に押し付けた。地面に押さえつけて勝利するには相手の肩を地面につけなければならない。

聡美はすぐに立ち上がり、両者は再び向き合った。聡美が一気に相手の首に絡みつこうとして不用意に腕を伸ばした時、その腕は飛鳥を超えてどんどん虚空へ吸い込まれていく。

聡美の手のひらには水色の渦巻きが重なっている。

飛鳥の水の通力だ!と友徳が気づいた時、飛鳥は隙だらけになった聡美の首をがしっりとホールドしてから素早くロールして地面に彼女を叩きつけた。「あぁん!」という女の声が響いた後、友徳は、女性陣たちを挑発するように正道と抱き合いながら喜びを示した。

恵は開いた口が塞がらないという様子であったが、横の香織に急かされて「一本!」とコール。
しょんぼりした聡美が女たちの元に帰ると、恵も怒られた猫みたいに眉を下げて彼女を励ましているようだった。

彼女たちのしょんぼり具合に流石の友徳たちも喜びをクールダウンした。

友徳はいよいよ自分の番!と張り切ってリングに入った。相手は香織。

恵と同じく肉つきがいい女性だが、幼い丸みを帯びた顔と透き通った小粒でキラキラした目が特徴的で、眠たげな猫っぽい恵とは違うタイプ。日に照らされた彼女の顔は目の輝きに負けないぐらいキラキラしていて可愛い。

彼女もまた、恵と共にスポーツウーマンらしい力強い足腰を感じさせる、腰を落とした戦闘体制に入った。

友徳は自身に秘められた変化を促し続ける革命家のような熱が、筋肉に浮力を与えるのを感じると、レスリングの作法など全く関係なしにガッツリと香織に組みついた。香織の脇に腕を差し込むことは容易ではなかったものの、首はぶつかり、腕は絡み合い、友徳は胸筋で相手の豊かな胸の膨らみを感じた。

上半身の防御に香織が大童になった時、友徳は一気に太ももにタックルして彼女をぐいっと戦利品のように持ち上げた。持ち上げられた彼女は堪忍したかのように動きを止めた。

友徳はそのまま香織を抱っこしながらリングアウト。少年チーム二勝目!

香織は鳩が豆鉄砲を食らったかのような様子でいたが、女たちに合流すると「すごい……強かった!」と驚愕を表していた。彼女はどうやら悔しさを感じるよりも素直に相手の強さを認めるタイプのようだ。

恵は大将戦を前にピキピキとした擬音が響いてきそうな顰めっ面でどうやら不機嫌らしい。この村の香織の実力を知った後では、その怒り顔も友徳には可愛く見えた。

三戦目は香織がコールして始まった。何かを考えてまとまらない時の、顔のパーツがお互い離れていってしまうかのように弛緩している正道を見ると、友徳はついおかしくて笑ってしまった。

恵はふくよかでがっちり、筋肉も相当ありそうな身体で積極的に組みついていき、正道の脇に腕を差し込んだ。あれ?正道負ける?

そんな心配は無用だった。いくら激しく恵が有利な体勢で投げつけようとしても、正道は荒々しく振り回す腕や腰の回転と野蛮にも思えるすばしっこい身のこなしで有利な立ち位置を取ると、横から恵を抱き寄せた。

「キャァ!あん!……ヤダヤダ!」と恵の声は彼女が正道に軽々とお姫様抱っこされると公園で響いた。

正道はリングアウトするなく恵を腕の中でゆっさ、ゆっさと揺らしてパフォーマンスする。恵は顔を赤くして結構真剣な感じで「ねぇ……降ろしてよ」

友徳は、グレイ・シャドウと戦って勝った経験はあるものの、それ以外で自分の実力を試したことはなかったので、この試合結果に大満足。

もう一度やる?という友徳の提案に香織は乗り気だったが、恵と聡美は恥ずかしそうに赤面。

正道は、今度は試合ではなく女性陣が本気で攻撃して、男子陣は防御するだけの練習を提案する。恵と聡美は頼るように香織を見つめた。香織が賛成すると練習が再開された。

今度は全員いっぺんに練習をした。友徳は恵の相手をすることに。

いつも通りの熱による身体強化で彼は、恵の腕を払いのける。ゆっくりとして彼女のタックルを切る。組みつこうとする彼女に付き合い、逆に組みついて軽くあしらう。

女性陣たちが根を上げた時、友徳も流石に疲れを感じて、近くの榎の影で休憩をした。飛鳥は友徳に両手を重ねて祝福術を行った。

友徳の熱っぽい身体は青白い粒子に囲まれた後、急激に冷却されていく。飛鳥は他の顔を見回してから癒しを求めている顔を見つけるとそこへいき、祝福術で癒していくのだった。

遠目で見ると恵と聡美は香織を囲みながら、口々に自分が負けたことのショックを癒してもらっている様子だった。香織は恵たちの頭を撫でたり、微笑んで軽く励ましたりしている様子。

「ねぇ、恵さんたち大丈夫?」と友徳は女性陣に近づいていった。

「大丈夫だよ……てかあなたたち強いね。全然敵わなかったよ」と恵は口をアヒルみたいに曲げて不満気。

「これからも私たちと練習してくれる?すごく……大変だったけど、勉強になったわ」と香織。

「いいですよ。僕も結構楽しかった」

後日、友徳は麗子から、子供達が女性たちの練習を手伝うことを正式に頼まれた。
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