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42 頬にチュウ
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・・・
「……お邪魔します」
また、来てしまった。
蒼井の部屋に。
あの後、俺は蒼井の案内でここまで来たのだけれど、公園からは思ったよりも遥かに近くて、パフェに関しては大いに助かった。
けれど、俺としてはもう少し時間をかけて来るつもりだったので、心の準備が追いついていない。
公園から蒼井の住んでいるマンションがどれぐらいの近さかというと、本当に目と鼻の先で、五分もかからずに着いてしまった気がする。
聞けば、蒼井からすればあの公園はマンションのすぐ裏で、ほとんど庭なんだとか。
ちなみに、さっき俺が入ったコンビニは以前俺と蒼井が出会したコンビニで、公園からは少しだけ歩く。
と、それはさておき。
俺はややギクシャクしたままリビングへ足を踏み入れた。
蒼井は俺をソファーへ促すと、早速パフェを冷蔵庫へ仕舞い、アイスティーを二人分用意して戻ってきた。
「ごめんな、付き合わせて」
「いや、別に……ていうか、お前でも悩んだりするんだな」
「あ、それどーゆー意味かなぁ?」
蒼井は冷ややかな笑みを浮かべると、四角いウッドテーブルの上にコトンと音を立ててアイスティーを置く。
それからおもむろに隣に腰を下ろした。
相変わらず、距離が近い奴。
わざとらしくニコニコしている蒼井に、俺は警戒しつつ言った。
「別に……ってか、その微笑みやめろっ」
「んん? どの微笑み?」
「だから……ぷっ、もう、やめろって。あははっ」
あまりにも蒼井がわざとらしく微笑んで見せるので、つい可笑しくなって吹き出すと、蒼井は照れたのか後ろ頭に手をやって目を逸らした。
「颯太……ツボ浅過ぎ」
「んあ?」
今度は俺が顔をしかめた。
確かに俺はツボが浅い方かもしれないけれど、なんだかバカにされた気分だ。
俺は頬をぷくっと膨らませて、上目遣いに蒼井を睨んだ。
「なんだよっ、バカにすんな」
「あーそれ、そういうのさぁ……。あー、もー……」
「ああ?」
何をやっても蒼井の反応がイマイチでムカつく。
けれど、そんな俺の睨みなんぞ意にも介さず、蒼井はこちらに視線を向けた。
(わ……っ)
その視線がやたら優し気で、思わずドキッとしてしまい、今度は違う意味で頬が赤くなる。
そんな俺を見て、蒼井はクスッと笑うと、こちらに手を伸ばしてきた。
「颯太ってころころ表情変わんのな」
「…… っ」
いきなり頬に手を添えられ、ドキドキが加速する。
それに、キスしてしまいそうなぐらい顔が近付いてきて、俺は堪らず目をぎゅっと瞑った。
そして暫くして……頬に柔らかな感触がきた。
ーーチュッ。
「……っ!?」
「ふふん。颯太、隙あり過ぎだからもーらい」
「~~~~っ!?!?」
口ではなかったものの、頬にキスをされてしまった。
恥ずかし過ぎて、俺は蒼井の胸を思い切り押し返して顔を真っ赤に染め上げる。
本当に、油断も隙もあったもんじゃない。
こんなんで、これから相談に乗るなんて出来るだろうか。
胸のドキドキが収まらず、俺は涙目で蒼井を睨んだ。
「……お邪魔します」
また、来てしまった。
蒼井の部屋に。
あの後、俺は蒼井の案内でここまで来たのだけれど、公園からは思ったよりも遥かに近くて、パフェに関しては大いに助かった。
けれど、俺としてはもう少し時間をかけて来るつもりだったので、心の準備が追いついていない。
公園から蒼井の住んでいるマンションがどれぐらいの近さかというと、本当に目と鼻の先で、五分もかからずに着いてしまった気がする。
聞けば、蒼井からすればあの公園はマンションのすぐ裏で、ほとんど庭なんだとか。
ちなみに、さっき俺が入ったコンビニは以前俺と蒼井が出会したコンビニで、公園からは少しだけ歩く。
と、それはさておき。
俺はややギクシャクしたままリビングへ足を踏み入れた。
蒼井は俺をソファーへ促すと、早速パフェを冷蔵庫へ仕舞い、アイスティーを二人分用意して戻ってきた。
「ごめんな、付き合わせて」
「いや、別に……ていうか、お前でも悩んだりするんだな」
「あ、それどーゆー意味かなぁ?」
蒼井は冷ややかな笑みを浮かべると、四角いウッドテーブルの上にコトンと音を立ててアイスティーを置く。
それからおもむろに隣に腰を下ろした。
相変わらず、距離が近い奴。
わざとらしくニコニコしている蒼井に、俺は警戒しつつ言った。
「別に……ってか、その微笑みやめろっ」
「んん? どの微笑み?」
「だから……ぷっ、もう、やめろって。あははっ」
あまりにも蒼井がわざとらしく微笑んで見せるので、つい可笑しくなって吹き出すと、蒼井は照れたのか後ろ頭に手をやって目を逸らした。
「颯太……ツボ浅過ぎ」
「んあ?」
今度は俺が顔をしかめた。
確かに俺はツボが浅い方かもしれないけれど、なんだかバカにされた気分だ。
俺は頬をぷくっと膨らませて、上目遣いに蒼井を睨んだ。
「なんだよっ、バカにすんな」
「あーそれ、そういうのさぁ……。あー、もー……」
「ああ?」
何をやっても蒼井の反応がイマイチでムカつく。
けれど、そんな俺の睨みなんぞ意にも介さず、蒼井はこちらに視線を向けた。
(わ……っ)
その視線がやたら優し気で、思わずドキッとしてしまい、今度は違う意味で頬が赤くなる。
そんな俺を見て、蒼井はクスッと笑うと、こちらに手を伸ばしてきた。
「颯太ってころころ表情変わんのな」
「…… っ」
いきなり頬に手を添えられ、ドキドキが加速する。
それに、キスしてしまいそうなぐらい顔が近付いてきて、俺は堪らず目をぎゅっと瞑った。
そして暫くして……頬に柔らかな感触がきた。
ーーチュッ。
「……っ!?」
「ふふん。颯太、隙あり過ぎだからもーらい」
「~~~~っ!?!?」
口ではなかったものの、頬にキスをされてしまった。
恥ずかし過ぎて、俺は蒼井の胸を思い切り押し返して顔を真っ赤に染め上げる。
本当に、油断も隙もあったもんじゃない。
こんなんで、これから相談に乗るなんて出来るだろうか。
胸のドキドキが収まらず、俺は涙目で蒼井を睨んだ。
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