【BL】いじわるな黒髪貴公子に食べられそうです

28 王様誰だ？

（なになに……？）


読み進めていくと、オンライン上のルーレットで王様と番号を決め、王様になった人は番号を指定して好きな命令を下すことが出来る、というものだった。

勿論、常識の範囲内での命令のみ有効で、危ない命令をしたりするのは違反となる。


（うーん、出来るかなぁ？　でも暇だし、一回ぐらいやってみようかな）


なにしろ初めてな事ばかりで悩ましいのだけれど、俺は女嫌いを克服するためにも、王様ゲームに参加することにした。


・・・


『ようこそ、オンライン版・王様ゲームへ！』


入室すると、大きなルーレットとチャット欄が表示され、その上にポップアップ画面でウェルカムメッセージが現れた。

案内に沿って進み、ゲーム画面が表示されると、既に多くの人がゲームに参加している最中だった。


（うわー、盛り上がってる！）


みんな楽しそうにルーレットを回し、王様になって使命したり、命令に沿って何かをしたりと、まるでリアルでやっているかのような雰囲気だ。

ちなみに、あくまでもオンライン上なので、相手の行動を見ることは出来ないため、やったらチャット欄に報告するというルールらしい。

例えば、1番が2番のことをくすぐる、という命令ならば、1番はくすぐる真似、2番はくすぐられる真似をその場でして、したことを報告する、といった具合だ。

まぁ、こういうのはやはりリアルの方がより盛り上がるのだろうが、これはこれで、妄想力を掻き立てられて楽しいといったところだろうか。

中にはちょっとエッチな命令なんかもあり大丈夫なのか心配になるが、このサイトは　″大人の飲み会″ なだけに、ある程度まではOKなようだ。

俺は様子を見つつ、ゲームに参加するボタンを押した。


・・・


ピコン。

参加が完了すると、お知らせ音と共に俺の名前がルーレットの上の方に表示された。

俺がルーレットを回す番はまだだいぶ先らしく、暫くは皆の様子を見てやり方を研究するとしよう。

そう思いながら眺めていると、早速次の王様が決まったようだ。


（……あ、今度は女の子が王様か）


次の王様に選ばれた彼女は、話ぶりからしてどうやら20代ではないかと予想出来る。

女性は暫し考えた後、14番と25番を指名した。

今は全部でちょうど25名が参加しているので、数字もその人数に伴っている。

指名された数字を見て、俺は自分の数字と照らし合わせ……目を見開いた。


「え、俺じゃん！」


俺に割り振られた数字は14番だった。

そして、25番の相手は誰かと思いドキドキしていると、相手はAという女性だった。

王様になった女性は二人が名乗りをあげたのを確認すると、早速命令を出してきた。


『では、25番が14番の頬にチューをする！』


（え、ええ！？）


命令を見て、俺は驚きに目を丸くした。

いや、ただのゲームだし楽しいけれど、通常は男性が女性にキスをするのが定番ではないのだろうか。

疑問が生まれるものの、ゲームはどんどん進んでいく。


『では、お願いします！』


王様の女性から開始のチャットが流されると、25番の女性AはノリノリでOKする。

俺もモタモタしてはいられないので、とにかくOKとチャットに打ち込んだ。