【BL】いじわるな黒髪貴公子に食べられそうです

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・・・

そして翌日の午後、俺は体調もすっかり回復したので、新しい帽子のデザインをスケッチブックに描き込んでいた。

今時、電子タブレットに電子ペンで描き込むのが主流だとは思うのだけれど、フリーで働いている俺にはこれが精一杯だ。


「んー……こんな感じかな？」


今回のも男女問わず使えるデザインで、今までと違うところは、リバーシブルという点だ。

リバーシブルなら裏返しても使えるし、作り手としても表と裏のデザインを考えたり、使用する生地を選ぶのも楽しい。

俺はワクワクしながらスケッチブックにどんどんイメージを描き込んでいった。


そして大体イメージがまとまって一休みしようと思ったその時、スマホにポンッとお知らせが届いた。

見るとーー蒼井からのメッセージだ。


（うっ、蒼井のやつ、なんだかんだ連絡してくるよな……）


やれやれと思いながらもメッセージを開くと、こう書いてあった。


『おはよ。なぁ、急なんだけど、今日って夕方以降空いてる？　駅前に出来たケーキ屋に行ってみたいんだけど』


「はぁ？　んなもん一人で行けっ」


思わず声に出しながら、俺は速攻で断りの返事を打ち込んで送信ボタン名を押す。


俺『行かない。そんなん、一人で行けよ』


すると、またすぐに返事が来て……


蒼井『えー、残念だなぁ。実は、今日誘った女の子が予定入っちゃって行かれなくなったから、その分颯太に奢ろうと思ったんだけど、やめとくかぁー』


（えっ……！？）


このままでは、ケーキを逃してしまう……じゃなくて、女の子、だと？

ケーキよりも、″誘った女の子″ というワードが引っかかる。

けれど、ここで『じゃあ行く』なんて返事をしてしまったら、蒼井の思う壺だ。

俺はグッと堪え、蒼井に『俺は予定があるから無理！』と送った。

するとその後、蒼井から特に返事はなく、俺はハァとため息をついた。

そして、先日100均で買った鍵付きのケースにスマホを仕舞い込み、作業に戻ったのだった。


・・・


そして、その日の夜。

「ふぅ、疲れたー。夕飯どうすっかなー」


一通り作業を終えた俺は、大きく伸びをしてからドサリとベッドにダイブした。


「ん～……気持ちぃ……」


フカフカのマットに癒され、俺はうっとり目を閉じる。

そしてふと、ケースに仕舞い込んだスマホのことを思い出した。


「そうだ、スマホ……」


鍵をデスクの引き出しから取り出し、ケースを開ける。

こんな100均のケースだけれど、お陰で作業中はスマホを見なくなったし、かなり助かっている。

俺はケースの存在に感謝しつつ、スマホの画面を明るく点灯させた。

すると、お知らせが何件か入っており、その中に　″大人の飲み会からのお知らせ″ を発見する。

内容を確認すると、それは王様ゲームへのお誘いだった。


「あー、そういえばそんなゲームもあるんだっけ」


過去の記憶を辿り、俺はウムと頷いた。

しかし、オンラインでの王様ゲームとはどういったものなのだろうか。

試しに画面を開いてみる。

と、煌びやかな画面が表示され、オンライン版王様ゲームのルール説明が書かれていた。