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19 帰さないよ⭐︎イラストあり
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このままでは恥ずかし過ぎるし、一刻も早く自分の服を着たい。
そう願いながら蒼井を見つめるけれど、蒼井は首をゆっくりと横に振った。
「ごめん、実は颯太の服、さっき洗濯機に放り込んじゃったから、まだ返せないんだよね。どうしよっかな」
「洗濯……!?」
まさか、そこまでされていたとは。
絶望的な展開に、俺はガクリと項垂れた。
蒼井はそんな俺の頭をポンポンと叩くと、スタスタどこかへ消えていく。
「……?」
今度は何かと待っていると、蒼井はなぜか、ゆるい短パンを持って帰ってきた。
「ん、これ履きなよ」
「え……いや、さっきのズボンでいいって」
「いやいや、あれだと寛げないでしょ? これは俺が寝る時によく履いてるやつだから、楽だよ」
「寝てる時に履い……っ」
それは、いらない情報だ。
だってそんな事を教えられたら、蒼井がこれを履いて寝ているところを想像してしまうではないか。
俺は頬が熱くなるのを感じ、フイッと顔を背けた。
それにしても、どうしてこうも蒼井の事になると反応してしまうのだろう。
さっきエロい事されたのが原因だとは思うけれど、本当にそれだけでこんな反応になるのだろうか。
俺はなるべく平常心を心がけながら口を開いた。
「こっ、これ以上、ここでゆっくりするつもりねぇし。さっきのズボン、借りていいなら履いて帰る、から」
借りる以上、返す為にまた蒼井に会わなければならないのは覚悟の上だ。
とにかく、もうこれ以上ここに居る方が危険だと思う。
しかし、蒼井は俺が帰るのを許してくれなかった。
「さっきのズボンかぁ……やっぱだめ。あれ、俺が明日履くから、こっちで我慢して?」
「なっ……」
さっきまでは貸しても良かったのに、絶対コイツ、今予定変更しただろ。
まぁ、借りる立場だしワガママを言うつもりもないけれど。
仕方がないので、俺はこの部屋着の短パンで我慢する事にした。
「っ、そうかよっ……! じゃあいい、これ履いて帰る!!」
この際、部屋着だから嫌だとか、そんな事を言っていられない。
俺は蒼井の短パンを握りしめ、留められているボタンを外した。
(もー、今度こそ帰るっ)
そう、今度こそ絶対にここを出てやる。
決意も固く、キッチリ上げられている短パンのチャックを下ろす。
すると……
「颯太」
「……っ」
ふいに名前を呼ばれ、ちょっとドキッとする。
「なんだよ?」
チャックを下げつつ、俺はさもなんでもないといった素振りで蒼井をキッと見上げる。
すると次の瞬間、予想外の事が起こった。
「ん、むっ……!?」
突如、俺の唇はあっさりと奪われ、ぬるりと舌が唇を割って侵入してくる。
「んぁっ、や、め……っ」
今度は一体、なんだというのか。
訳が分からず咄嗟に抵抗しようと思うものの、蒼井のキスは上手過ぎて、身体に上手く力が入らない。
顔を真っ赤に染め上げて必死にキスを受け止めていると、ゆっくりと音を立てて唇が離され、艶めいた声で蒼井が囁く。
「だめ、帰らないって言うまで、キスするから」
「な、なに言って……んんっ! ふっ……ぁ」
再び降り注ぐ容赦ないキスの嵐に、身体の芯が熱くなる。
気持ち良くて、全身から力が抜け落ちると、今度は手首を掴まれて壁際に追い詰められた。
トン、と背中が壁に着くと、ぐっとキスが深まっていく。
(な、んで……こんなことすんだよ……っ)
舌が絡み合い、熱い吐息が漏れ、意に反して下半身が反応を示し始める。
こんな事されて悔しい筈なのに、俺はいつの間にかキスに夢中になってしまっていた。
「ん、は……蒼井……っも、むり……」
「は……やばいな……颯太、なんて顔してんだよ」
「ふぇ……?」
すっかり腑抜けにされ、俺は蒼井を見つめた。
なんだろう、なんだか……意識がふわふわして、気持ちいい。
(あ、れ……?)
なんだろう、ちょっと目眩がするかもしれない。
目の前の景色がぐらりと歪み、身体から力が抜けていく。
それに、ちょっと顔が熱い気がする。
「颯太? ……おい、颯太っ!?」
「ふにゅ……」
何故だろう、蒼井の声が遠くに聞こえる。
それなのに、あたたかい腕に包まれていて、変な感じ。
「颯太! しっかりしろ……」
(蒼井……)
いつになく真剣な蒼井の顔がぼやけていく。
これはもしかしたら、さっきの雨と風呂と、エロい事をされたせいで、風邪でもひいたのかもしれない。
脳内で分析しつつも、徐々に目の前が真っ白になり、俺は意識を手放した。
そう願いながら蒼井を見つめるけれど、蒼井は首をゆっくりと横に振った。
「ごめん、実は颯太の服、さっき洗濯機に放り込んじゃったから、まだ返せないんだよね。どうしよっかな」
「洗濯……!?」
まさか、そこまでされていたとは。
絶望的な展開に、俺はガクリと項垂れた。
蒼井はそんな俺の頭をポンポンと叩くと、スタスタどこかへ消えていく。
「……?」
今度は何かと待っていると、蒼井はなぜか、ゆるい短パンを持って帰ってきた。
「ん、これ履きなよ」
「え……いや、さっきのズボンでいいって」
「いやいや、あれだと寛げないでしょ? これは俺が寝る時によく履いてるやつだから、楽だよ」
「寝てる時に履い……っ」
それは、いらない情報だ。
だってそんな事を教えられたら、蒼井がこれを履いて寝ているところを想像してしまうではないか。
俺は頬が熱くなるのを感じ、フイッと顔を背けた。
それにしても、どうしてこうも蒼井の事になると反応してしまうのだろう。
さっきエロい事されたのが原因だとは思うけれど、本当にそれだけでこんな反応になるのだろうか。
俺はなるべく平常心を心がけながら口を開いた。
「こっ、これ以上、ここでゆっくりするつもりねぇし。さっきのズボン、借りていいなら履いて帰る、から」
借りる以上、返す為にまた蒼井に会わなければならないのは覚悟の上だ。
とにかく、もうこれ以上ここに居る方が危険だと思う。
しかし、蒼井は俺が帰るのを許してくれなかった。
「さっきのズボンかぁ……やっぱだめ。あれ、俺が明日履くから、こっちで我慢して?」
「なっ……」
さっきまでは貸しても良かったのに、絶対コイツ、今予定変更しただろ。
まぁ、借りる立場だしワガママを言うつもりもないけれど。
仕方がないので、俺はこの部屋着の短パンで我慢する事にした。
「っ、そうかよっ……! じゃあいい、これ履いて帰る!!」
この際、部屋着だから嫌だとか、そんな事を言っていられない。
俺は蒼井の短パンを握りしめ、留められているボタンを外した。
(もー、今度こそ帰るっ)
そう、今度こそ絶対にここを出てやる。
決意も固く、キッチリ上げられている短パンのチャックを下ろす。
すると……
「颯太」
「……っ」
ふいに名前を呼ばれ、ちょっとドキッとする。
「なんだよ?」
チャックを下げつつ、俺はさもなんでもないといった素振りで蒼井をキッと見上げる。
すると次の瞬間、予想外の事が起こった。
「ん、むっ……!?」
突如、俺の唇はあっさりと奪われ、ぬるりと舌が唇を割って侵入してくる。
「んぁっ、や、め……っ」
今度は一体、なんだというのか。
訳が分からず咄嗟に抵抗しようと思うものの、蒼井のキスは上手過ぎて、身体に上手く力が入らない。
顔を真っ赤に染め上げて必死にキスを受け止めていると、ゆっくりと音を立てて唇が離され、艶めいた声で蒼井が囁く。
「だめ、帰らないって言うまで、キスするから」
「な、なに言って……んんっ! ふっ……ぁ」
再び降り注ぐ容赦ないキスの嵐に、身体の芯が熱くなる。
気持ち良くて、全身から力が抜け落ちると、今度は手首を掴まれて壁際に追い詰められた。
トン、と背中が壁に着くと、ぐっとキスが深まっていく。
(な、んで……こんなことすんだよ……っ)
舌が絡み合い、熱い吐息が漏れ、意に反して下半身が反応を示し始める。
こんな事されて悔しい筈なのに、俺はいつの間にかキスに夢中になってしまっていた。
「ん、は……蒼井……っも、むり……」
「は……やばいな……颯太、なんて顔してんだよ」
「ふぇ……?」
すっかり腑抜けにされ、俺は蒼井を見つめた。
なんだろう、なんだか……意識がふわふわして、気持ちいい。
(あ、れ……?)
なんだろう、ちょっと目眩がするかもしれない。
目の前の景色がぐらりと歪み、身体から力が抜けていく。
それに、ちょっと顔が熱い気がする。
「颯太? ……おい、颯太っ!?」
「ふにゅ……」
何故だろう、蒼井の声が遠くに聞こえる。
それなのに、あたたかい腕に包まれていて、変な感じ。
「颯太! しっかりしろ……」
(蒼井……)
いつになく真剣な蒼井の顔がぼやけていく。
これはもしかしたら、さっきの雨と風呂と、エロい事をされたせいで、風邪でもひいたのかもしれない。
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