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7 連絡先、教えて?⭐︎イラストあり
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俺の視界に飛び込んできたのは、ある男性の姿。
(あれって、まさか……!?)
その男性は窓際の席に座っており、ノートパソコンに向かってなにやら作業をしている。
黒いパーカーに、白いスラックスを履いており、一見地味な格好なのに、長い手足と整った小さい顔が、モデル並みのイケてるオーラを醸し出していた。
(蒼井……響……!)
蒼井響(あおい きょう)ーー忘れもしない、最近夢にも出てきたアイツだ。
成績は学内トップ、運動神経は群を抜いており、顔は超イケメン、スタイルも抜群でちょっとヤンキーっぽいのが女子に大人気。
でもって、散々俺をからかってきた嫌な奴。
なのに、どこからともなく湧いてくる類まれなるカリスマ性で、男女共にいつも大人気だった。
そして今もおそらく、そのオーラは消えていないのではないだろうか。
(てか、磨きがかかってる……!? やべー、テイクアウトに切り替えるか……!)
危機を感じた俺は、気付かれないようにレジの方へ向かう。
しかし、そうやって意識している時ほど気付かれるもので。
蒼井はチラリと顔を上げ、こちらを見た。
「……あ」
「うげ……!」
目が合った瞬間、背中に嫌な汗が流れる。
蒼井はそんな俺の心境など梅雨ほども知らないといった様子で、ヒョイと片手を上げた。
「佐久間じゃん、久しぶり」
「……っ」
緊張で声が出ない。
どう返していいか分からず、俺はその場に立ち竦んでしまった。
(ど、どうしよう、このままじゃまた何か言われる……!)
その場から立ち去る事も出来ずにいると、蒼井はガタンと椅子から立ち上がってこちらへやってきた。
そして俺の顔を覗き込むと、ニヤリと嫌な笑みを浮かべる。
「相変わらず、かーわいー。なに、まだ手芸やってんの? まさか、こんな所で会うとはねぇ」
「……っるさい、もう帰る」
近すぎる距離に耐えられず、俺はくるりと踵を返した。
すると次の瞬間、ぐいっと腕を掴まれて引き止められ、手にしたドリンクが溢れそうになる。
「っにすんだよ!?」
「ふ、そんなに怒るなって。せっかく再会出来たんだから、少し話そうぜ?」
「は、話すって……別に、話すことなんてねぇし!」
思い出すのは、こいつに散々からかわれた事ばかり。
何かを楽しく語らった覚えはない。
だから、今日だってきっと俺がバカにされて終わるんだ。
そんなの、絶対にごめんだ。
俺は強い意志で腕を振り払った。
「離せよ……! 俺、用があるの思い出したから帰る。じゃあな」
「……連絡先」
「え?」
ボソリとなにやら声が聞こえた気がして振り返ると、蒼井はいつの間にか取り出したスマホを片手に俯いている。
「な……なんだよ?」
「だから、連絡先。交換しよ? 佐久間、卒業してからスマホ変えただろ? 繋がんなかったし」
「そ、それはそうだけど……ってか、かけたのかよ!?」
まさか、蒼井が卒業後に連絡してきていたなんて、全然知らなかった。
ちなみに、俺は高校卒業と同時にさっさとスマホを買い換えた。
買い換えた理由はただ一つ、もう趣味の事であーだこーだ言われたくなかったからだ。
だから、今は高校の誰とも連絡は取れない。
でも、別に連絡が取れなくなったからって、何の問題もない。
特に蒼井みたいな人気者は他に嫌というほど友達が居るだろうし、誰かとまた会おうと思えばいくらでも会えるだろう。
いや、それとも……。
卒業後も俺を捕まえて虐める為に、俺と連絡を取りたかったのだろうか。
そう考えると、ちょっとゾッとしてしまう。
まぁ、流石にそれはないだろうけど。
しかしながら、なぜ、どうして、この後に及んで蒼井と連絡先の交換なんかしなくちゃならないのだろうか。
せっかくスッキリして新生活を送っているというのに、また蒼井にかき乱されるなんて冗談じゃない。
俺は全力で蒼井の提案を却下した。
「やだ。お前どうせまた、俺の事からかう気だろ?」
そう言って、俺はぷいっとそっぽを向いた。
蒼井はそんな俺をキョトンとした顔で見つめた後、フッと笑みを溢した。
「んな事しねーって。大丈夫。だからほら、交換しよ」
「う……うそだ!」
「うそじゃねぇって」
抵抗すると、手首を掴まれて引き寄せられる。
それから無理矢理、蒼井の向かいの席に座らされたかと思うと、持っていたドリンクを奪われテーブルの上に置かれた。
なにをするのかと抗議の声を上げようとすれば、トン、と後ろのガラス窓に手をつかれ、腕の中に閉じ込められてしまった。
「ちょ、なにすんだよ……!?」
「はい、捕まえた。連絡先、教えろよ。じゃないと……」
「……っ!?」
(あれって、まさか……!?)
その男性は窓際の席に座っており、ノートパソコンに向かってなにやら作業をしている。
黒いパーカーに、白いスラックスを履いており、一見地味な格好なのに、長い手足と整った小さい顔が、モデル並みのイケてるオーラを醸し出していた。
(蒼井……響……!)
蒼井響(あおい きょう)ーー忘れもしない、最近夢にも出てきたアイツだ。
成績は学内トップ、運動神経は群を抜いており、顔は超イケメン、スタイルも抜群でちょっとヤンキーっぽいのが女子に大人気。
でもって、散々俺をからかってきた嫌な奴。
なのに、どこからともなく湧いてくる類まれなるカリスマ性で、男女共にいつも大人気だった。
そして今もおそらく、そのオーラは消えていないのではないだろうか。
(てか、磨きがかかってる……!? やべー、テイクアウトに切り替えるか……!)
危機を感じた俺は、気付かれないようにレジの方へ向かう。
しかし、そうやって意識している時ほど気付かれるもので。
蒼井はチラリと顔を上げ、こちらを見た。
「……あ」
「うげ……!」
目が合った瞬間、背中に嫌な汗が流れる。
蒼井はそんな俺の心境など梅雨ほども知らないといった様子で、ヒョイと片手を上げた。
「佐久間じゃん、久しぶり」
「……っ」
緊張で声が出ない。
どう返していいか分からず、俺はその場に立ち竦んでしまった。
(ど、どうしよう、このままじゃまた何か言われる……!)
その場から立ち去る事も出来ずにいると、蒼井はガタンと椅子から立ち上がってこちらへやってきた。
そして俺の顔を覗き込むと、ニヤリと嫌な笑みを浮かべる。
「相変わらず、かーわいー。なに、まだ手芸やってんの? まさか、こんな所で会うとはねぇ」
「……っるさい、もう帰る」
近すぎる距離に耐えられず、俺はくるりと踵を返した。
すると次の瞬間、ぐいっと腕を掴まれて引き止められ、手にしたドリンクが溢れそうになる。
「っにすんだよ!?」
「ふ、そんなに怒るなって。せっかく再会出来たんだから、少し話そうぜ?」
「は、話すって……別に、話すことなんてねぇし!」
思い出すのは、こいつに散々からかわれた事ばかり。
何かを楽しく語らった覚えはない。
だから、今日だってきっと俺がバカにされて終わるんだ。
そんなの、絶対にごめんだ。
俺は強い意志で腕を振り払った。
「離せよ……! 俺、用があるの思い出したから帰る。じゃあな」
「……連絡先」
「え?」
ボソリとなにやら声が聞こえた気がして振り返ると、蒼井はいつの間にか取り出したスマホを片手に俯いている。
「な……なんだよ?」
「だから、連絡先。交換しよ? 佐久間、卒業してからスマホ変えただろ? 繋がんなかったし」
「そ、それはそうだけど……ってか、かけたのかよ!?」
まさか、蒼井が卒業後に連絡してきていたなんて、全然知らなかった。
ちなみに、俺は高校卒業と同時にさっさとスマホを買い換えた。
買い換えた理由はただ一つ、もう趣味の事であーだこーだ言われたくなかったからだ。
だから、今は高校の誰とも連絡は取れない。
でも、別に連絡が取れなくなったからって、何の問題もない。
特に蒼井みたいな人気者は他に嫌というほど友達が居るだろうし、誰かとまた会おうと思えばいくらでも会えるだろう。
いや、それとも……。
卒業後も俺を捕まえて虐める為に、俺と連絡を取りたかったのだろうか。
そう考えると、ちょっとゾッとしてしまう。
まぁ、流石にそれはないだろうけど。
しかしながら、なぜ、どうして、この後に及んで蒼井と連絡先の交換なんかしなくちゃならないのだろうか。
せっかくスッキリして新生活を送っているというのに、また蒼井にかき乱されるなんて冗談じゃない。
俺は全力で蒼井の提案を却下した。
「やだ。お前どうせまた、俺の事からかう気だろ?」
そう言って、俺はぷいっとそっぽを向いた。
蒼井はそんな俺をキョトンとした顔で見つめた後、フッと笑みを溢した。
「んな事しねーって。大丈夫。だからほら、交換しよ」
「う……うそだ!」
「うそじゃねぇって」
抵抗すると、手首を掴まれて引き寄せられる。
それから無理矢理、蒼井の向かいの席に座らされたかと思うと、持っていたドリンクを奪われテーブルの上に置かれた。
なにをするのかと抗議の声を上げようとすれば、トン、と後ろのガラス窓に手をつかれ、腕の中に閉じ込められてしまった。
「ちょ、なにすんだよ……!?」
「はい、捕まえた。連絡先、教えろよ。じゃないと……」
「……っ!?」
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