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「陽斗……お願いがあるんだ、聞いて欲しい」
そう言って、優真は俺の前に跪く。
まるで王子様のようなその姿はやっぱりカッコよくて、つい見とれてしまう。
「な、なんだよ?」
「陽斗、これは僕のワガママなんだけれどね……君は僕だけのエンジェルだ。その声も、視線も、仕草の一つ一つが、僕の宝物なんだよ。出来ることなら、いつ何時でも、この腕の中に閉じ込めておきたい……!しかし、それは君を束縛する事になるだろう。僕は、それはしたくない……と思う」
深刻な顔つきで、優真は一旦呼吸を整える。
そして突如、拳を握りしめてガバッと顔を上げると、声高らかに言った。
「だがしかし……!僕の超本音は違う!本当の本当は、陽斗を自分だけのものだと公の場で宣言し、指一本触れたら罰金取りますが宜しいですかという内容の書類にサインさせて僕以外の人間は半径1m以内には近寄れないようにしたいんだぁぁああああ!!」
「だぁあああああっ!アホかーーーー!!」
ああ……もう。
なんでこいつは、いつもこうなるんだ。
いつもの優真が炸裂し、俺はガクリと項垂れた。
そんな俺には気付かず、優真は懐からサッと一枚の用紙を取り出すと、目の前にババンと突き出した。
「見てくれ!書類もこの通りさ!」
「作ったのかよ!!」
「ふ……名付けて、"陽斗防衛大作戦契約書"だっっ!」
「今すぐに破り捨ててやるから貸せ」
俺は優真から契約書を取り上げると、その場でビリビリに破り捨てた。
しかし……
「甘いな、エンジェル!こんなこともあろうかと、原本のコピーとバックアップは万全だ!僕は危機を感じたら、迷わずに書類を出すぞ!」
「絶っっっっ対に出すな!!」
……頭痛がしてきた。
(けど……)
これが優真なりの愛し方なのかなと思う。
(恋愛初心者で、いつも予想外のものを作ってきたり、漫才みたいになっちまうけど……)
なんだかんだ、楽しんでる自分がいる。
俺は、ギャグみたいな優真も、真面目な優真も、やたらイケメンな優真も、全部ひっくるめて好きなんだと思う。
そう思いながら、俺は腕組みをして盛大にため息をついた。
「どーすんだよ、これ。完全に紙の無駄遣いじゃねーか」
「ええ、ひどいなぁ。無駄じゃないよ。これは、陽斗を守るための……」
「だーかーら。俺を守るのは契約書じゃなくて、優真の役目だろって言ってんだよ」
「え……」
「……んだよ。守ってくれねぇのかよ?」
わざとムスッとして睨むと、優真はキラキラと目を輝かせて俺の手を取った。
「もちろん、守るよ……!はは、やっぱり陽斗は素敵な人だな」
「……別に」
照れ隠しに突っ張ってみせるけれど、優真にはお見通しのようで。
「陽斗、顔上げて」
「……っ」
ちらりと視線を上げれば、優真の澄んだ切れ長の瞳が俺を捉える。
優真は僅かに甘さを含んだ声音で言った。
「こんな僕だけど、これからもよろしくね」
「……ん」
なんだか恥ずかしくて曖昧に頷くと、下からすくい上げるように唇を奪われた。
(優真……これからもずっと、好き)
素直じゃない俺だけど、これからも一緒にいて欲しい。
そしてこれからは、もっともっと甘いキスをしていけたら、幸せだろうな。
心地よい重みを受け止めながら、俺は密かにそう思った。
……END.
そう言って、優真は俺の前に跪く。
まるで王子様のようなその姿はやっぱりカッコよくて、つい見とれてしまう。
「な、なんだよ?」
「陽斗、これは僕のワガママなんだけれどね……君は僕だけのエンジェルだ。その声も、視線も、仕草の一つ一つが、僕の宝物なんだよ。出来ることなら、いつ何時でも、この腕の中に閉じ込めておきたい……!しかし、それは君を束縛する事になるだろう。僕は、それはしたくない……と思う」
深刻な顔つきで、優真は一旦呼吸を整える。
そして突如、拳を握りしめてガバッと顔を上げると、声高らかに言った。
「だがしかし……!僕の超本音は違う!本当の本当は、陽斗を自分だけのものだと公の場で宣言し、指一本触れたら罰金取りますが宜しいですかという内容の書類にサインさせて僕以外の人間は半径1m以内には近寄れないようにしたいんだぁぁああああ!!」
「だぁあああああっ!アホかーーーー!!」
ああ……もう。
なんでこいつは、いつもこうなるんだ。
いつもの優真が炸裂し、俺はガクリと項垂れた。
そんな俺には気付かず、優真は懐からサッと一枚の用紙を取り出すと、目の前にババンと突き出した。
「見てくれ!書類もこの通りさ!」
「作ったのかよ!!」
「ふ……名付けて、"陽斗防衛大作戦契約書"だっっ!」
「今すぐに破り捨ててやるから貸せ」
俺は優真から契約書を取り上げると、その場でビリビリに破り捨てた。
しかし……
「甘いな、エンジェル!こんなこともあろうかと、原本のコピーとバックアップは万全だ!僕は危機を感じたら、迷わずに書類を出すぞ!」
「絶っっっっ対に出すな!!」
……頭痛がしてきた。
(けど……)
これが優真なりの愛し方なのかなと思う。
(恋愛初心者で、いつも予想外のものを作ってきたり、漫才みたいになっちまうけど……)
なんだかんだ、楽しんでる自分がいる。
俺は、ギャグみたいな優真も、真面目な優真も、やたらイケメンな優真も、全部ひっくるめて好きなんだと思う。
そう思いながら、俺は腕組みをして盛大にため息をついた。
「どーすんだよ、これ。完全に紙の無駄遣いじゃねーか」
「ええ、ひどいなぁ。無駄じゃないよ。これは、陽斗を守るための……」
「だーかーら。俺を守るのは契約書じゃなくて、優真の役目だろって言ってんだよ」
「え……」
「……んだよ。守ってくれねぇのかよ?」
わざとムスッとして睨むと、優真はキラキラと目を輝かせて俺の手を取った。
「もちろん、守るよ……!はは、やっぱり陽斗は素敵な人だな」
「……別に」
照れ隠しに突っ張ってみせるけれど、優真にはお見通しのようで。
「陽斗、顔上げて」
「……っ」
ちらりと視線を上げれば、優真の澄んだ切れ長の瞳が俺を捉える。
優真は僅かに甘さを含んだ声音で言った。
「こんな僕だけど、これからもよろしくね」
「……ん」
なんだか恥ずかしくて曖昧に頷くと、下からすくい上げるように唇を奪われた。
(優真……これからもずっと、好き)
素直じゃない俺だけど、これからも一緒にいて欲しい。
そしてこれからは、もっともっと甘いキスをしていけたら、幸せだろうな。
心地よい重みを受け止めながら、俺は密かにそう思った。
……END.
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