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翌日、俺はバイト前に少しだけ、恋愛サークルに顔を出していた。
今日の議題は「もし恋敵がいると分かったら、どう対応するのが良いか」だ。
(これは……完全に成瀬を意識しているのでは……)
議題を決めたのは勿論、サークル代表者である優真だ。
今日はとことんこの議題について話し合うつもりらしい。
優真は壇上に立つと、サークルメンバー全員に向かって言った。
「さぁ、今日のお題は見ての通りだよ。皆の意見を聞かせてもらいたい。まずは、思いついた事をどんどん発言してほしい」
すると、すぐに手を上げた人物が一人……藤野先輩だ。
「はい、私なら、ライバルより先に告白するかなぁ。それでフラれたら仕方ないし、両想いになれたらラッキーって感じね。で、その先も、ライバルに負けないように、努力は怠らないのが大事だと思う!」
意気込む藤野先輩に、優真は「ほぅ」と顎に手を当て、書記を務めるメンバーの村田にメモを執るよう促した。
「なるほど、藤野先輩はライバルより先に告白して、自分のものにするんですね?」
「じ、自分のものって……もう、東条君たら!」
独占欲バリバリの発言に、ケラケラ笑う藤野先輩。
しかし、優真は至って真面目な顔で話を続けた。
「じゃあ、付き合っている相手にライバルが現れた場合、藤野先輩ならどうします?」
「え、付き合ってる相手に、かぁ……そうだなぁ、とりあえず、自分磨きは欠かさないかな。あと、仲がいいところをライバルに見せつけちゃう!とかね♡」
「……なるほど」
藤野先輩の意見に納得する優真。
すると、他のメンバーも次々と手を上げ始めた。
まずは、1年の田中。
「はいっ!もう付き合ってるってことなら、私なら焦らずに、ドーンと構えているかもです。じゃないとなんか、彼氏にウザがられて逆にライバルに負けちゃいそう……」
想像が膨らんだのか、言ってから田中はしゅんとしてしまう。
と、他のメンバーからまた次々と声が上がってきた。
「はいはいっ!田中さんの意見も分かるけど、私の場合は不安になってしまって、ドンと構える余裕なんてなくなるかも……だから、ライバルを見かけたら、彼氏を連れて逃げるか、あえて彼氏に話しかけて自分の方に気を引くか、かなぁ」
「え~、なにそれ?私なら、ライバルから見えないところで絆を深めるかなぁ。やっぱりさ、2人の絆がしっかりしていれば、心配ないと思うんだよね」
「え~~、私ならライバルの前に出ていって、正々堂々と勝負するわよ!?」
ギャーギャーワーワー。
(お、女って……)
書記の村田はクソ忙しそうにペンを走らせている。
と、その時。
教室の後ろのドアがガラッと音を立てて開かれた。
そして、ある人物がひょこっと顔を覗かせる。
「あの、すみません。さっきここの教室に忘れ物をしたので、入ってもいいですか?」
その瞬間、メンバー達が一斉に声を上げる。
「っきゃーーーー!!」
「うそ、誰!?イケメン!!」
「ヤバい!イケメンが2人も同じ空間にいるなんて……天国かよ!?」
(おい、俺はイケメンじゃねえってことかよ!)
密かに凹む俺氏。
まぁそれは置いといて。
教室に入ってきたイケメンは俺に気付くと、その切れ長の目を丸くした。
「あれ、陽斗君?」
「よ、よう……」
俺はイケメンこと、成瀬に向かって、小さく手を振り苦笑いを浮かべた。
今日の議題は「もし恋敵がいると分かったら、どう対応するのが良いか」だ。
(これは……完全に成瀬を意識しているのでは……)
議題を決めたのは勿論、サークル代表者である優真だ。
今日はとことんこの議題について話し合うつもりらしい。
優真は壇上に立つと、サークルメンバー全員に向かって言った。
「さぁ、今日のお題は見ての通りだよ。皆の意見を聞かせてもらいたい。まずは、思いついた事をどんどん発言してほしい」
すると、すぐに手を上げた人物が一人……藤野先輩だ。
「はい、私なら、ライバルより先に告白するかなぁ。それでフラれたら仕方ないし、両想いになれたらラッキーって感じね。で、その先も、ライバルに負けないように、努力は怠らないのが大事だと思う!」
意気込む藤野先輩に、優真は「ほぅ」と顎に手を当て、書記を務めるメンバーの村田にメモを執るよう促した。
「なるほど、藤野先輩はライバルより先に告白して、自分のものにするんですね?」
「じ、自分のものって……もう、東条君たら!」
独占欲バリバリの発言に、ケラケラ笑う藤野先輩。
しかし、優真は至って真面目な顔で話を続けた。
「じゃあ、付き合っている相手にライバルが現れた場合、藤野先輩ならどうします?」
「え、付き合ってる相手に、かぁ……そうだなぁ、とりあえず、自分磨きは欠かさないかな。あと、仲がいいところをライバルに見せつけちゃう!とかね♡」
「……なるほど」
藤野先輩の意見に納得する優真。
すると、他のメンバーも次々と手を上げ始めた。
まずは、1年の田中。
「はいっ!もう付き合ってるってことなら、私なら焦らずに、ドーンと構えているかもです。じゃないとなんか、彼氏にウザがられて逆にライバルに負けちゃいそう……」
想像が膨らんだのか、言ってから田中はしゅんとしてしまう。
と、他のメンバーからまた次々と声が上がってきた。
「はいはいっ!田中さんの意見も分かるけど、私の場合は不安になってしまって、ドンと構える余裕なんてなくなるかも……だから、ライバルを見かけたら、彼氏を連れて逃げるか、あえて彼氏に話しかけて自分の方に気を引くか、かなぁ」
「え~、なにそれ?私なら、ライバルから見えないところで絆を深めるかなぁ。やっぱりさ、2人の絆がしっかりしていれば、心配ないと思うんだよね」
「え~~、私ならライバルの前に出ていって、正々堂々と勝負するわよ!?」
ギャーギャーワーワー。
(お、女って……)
書記の村田はクソ忙しそうにペンを走らせている。
と、その時。
教室の後ろのドアがガラッと音を立てて開かれた。
そして、ある人物がひょこっと顔を覗かせる。
「あの、すみません。さっきここの教室に忘れ物をしたので、入ってもいいですか?」
その瞬間、メンバー達が一斉に声を上げる。
「っきゃーーーー!!」
「うそ、誰!?イケメン!!」
「ヤバい!イケメンが2人も同じ空間にいるなんて……天国かよ!?」
(おい、俺はイケメンじゃねえってことかよ!)
密かに凹む俺氏。
まぁそれは置いといて。
教室に入ってきたイケメンは俺に気付くと、その切れ長の目を丸くした。
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