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・・・

その後、俺は優真の腕に頭を預け、甘いまどろみの中で小さく息をついた。

「はぁ……」

「ふふ、陽斗いい表情してる」

「な……」

反射的に言い返そうとするものの、今は身体に力が入らない。

言い返す代わりに肩口に顔を埋めると、頭をポンポンされた。

「少し休むといいよ。陽斗、明日はバイトもあるよね?」

「あ、うん……夕方からだな。はぁ、だりーなぁ」

明日の事を考えると、ずしりと気が重くなる。

今はまだ、この余韻に浸っていたい。

俺はバイトの事を振り払うように、別の話題に切り替えた。

「優真、その…優真は、いいのか?」

「え、なにが?」

「そ、その……っ」

なんとなく聞いてみたくて聞いたのだが、いざとなるとこの質問はかなり恥ずかしい。

しかも、返答によっては俺は頑張らないといけない。

まぁ、それは全然いいのだが。

俺は優真から目を逸らしたまま答えた。

「優真は、き、気持ちよく……っならなくていいのかよ……っ!?」

「え……」

チラリと表情を盗み見ると、優真は意外そうに目を見開き、俺を凝視している。

(う、やっぱり少し大胆過ぎたか……!?)

でも正直なところ、俺ばかり気持ちよくなってしまっては、なんだか申し訳ない気もする。

少々眠気に襲われてはいるけれど、出来る事なら、優真を気持ちよくさせてやりたい。

俺は眠い目を擦りつつ、僅かに身を起こした。

「陽斗?」

「……俺も、優真に気持ちいいこと、する」

そう言って、優真の上に覆いかぶさってみると、クスッと笑われた。

「笑うなよ」

「ごめん。陽斗があんまり可愛い事言うからさ」

「可愛くない」

「可愛いよ」

優真は優しく目を細めて、俺の頬をスリ、と片手で優しく撫でる。

その手の感触が心地よくて、俺はつい目を閉じてうっとりしてしまう。

暫くじっとしていると、スルリと優真の指先が髪を割き、今度は耳の縁へ這わされた。

「んっ、や……」

「陽斗、気持ちい?」

「んん……だめ、優真……っ次は、優真の番……あっ」

手を伸ばそうとすると、それを制するように耳を弄られる。

(くそ……っこれじゃあまた、俺ばっかり……っ)

せめて、優真にキスぐらいしてやりたいのに。

弱い耳に触れられると、背筋がゾクゾクして、それどころではなくなってしまう。

「……っもう、優真……っ」

「ん、なに?」

「キスぐらい、させろよ……っ」

そう言って、俺は優真の手からどうにか逃れ、淡い桜色の、形の整った唇を奪った。
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