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「あ……」
そう言えばと、慌ててテーブルの上に目をやれば、パスタはすっかり冷めきってしまっていた。
「あーあ……今日は特に美味しく作れたと思ったんだけどなぁ」
「わ、わりぃ……俺のせいだな」
俺があそこでもう少し我慢していれば、今頃は美味しくパスタを食べて、機嫌も直っていたかもしれない。
しかし、優真は首を横に振った。
「陽斗のせいじゃない。今回は、僕のせいだよ。もっと率直に、本音を言えば良かったんだ」
「本音……」
「そ、本音。行かないでーってね」
少し茶化すように言って、優真はふふと笑った。
「……」
色々思い出すと恥ずかしくて、俺は顔が赤くなりそうなのを紛らわす為に、パスタの皿を持ってフイっと優真に背を向けた。
「陽斗?」
「これ、あっためて食べる。つか、まだ少し温かいし、全然いけるだろ」
「あ……うん、そうだね」
「優真のも持ってくから……」
そう言って優真の分のパスタが入った皿に手を伸ばすと……
「待って」
「な、なに?」
手に手が重ねられ、ドキッとする。
そろりと見上げると、間近で視線がぶつかった。
「な……なんだよ?」
「……なんで」
「……?」
「なんでそんなに……可愛いんだ?」
「はい?」
いや、真顔でいきなり聞かれても。
ていうか、毎度毎度、可愛い可愛い言いやがって。
確かに彼女ポジションかもしれないけれど、俺だって一応男だ。
可愛いと言われて嬉しいかというと……
(う……優真に言われるのは確かに、嫌じゃねぇんだよなぁぁ……)
思ったより遥かに嬉しく感じている自分がいて、俺は内心、盛大なため息をついた。
そう言えばと、慌ててテーブルの上に目をやれば、パスタはすっかり冷めきってしまっていた。
「あーあ……今日は特に美味しく作れたと思ったんだけどなぁ」
「わ、わりぃ……俺のせいだな」
俺があそこでもう少し我慢していれば、今頃は美味しくパスタを食べて、機嫌も直っていたかもしれない。
しかし、優真は首を横に振った。
「陽斗のせいじゃない。今回は、僕のせいだよ。もっと率直に、本音を言えば良かったんだ」
「本音……」
「そ、本音。行かないでーってね」
少し茶化すように言って、優真はふふと笑った。
「……」
色々思い出すと恥ずかしくて、俺は顔が赤くなりそうなのを紛らわす為に、パスタの皿を持ってフイっと優真に背を向けた。
「陽斗?」
「これ、あっためて食べる。つか、まだ少し温かいし、全然いけるだろ」
「あ……うん、そうだね」
「優真のも持ってくから……」
そう言って優真の分のパスタが入った皿に手を伸ばすと……
「待って」
「な、なに?」
手に手が重ねられ、ドキッとする。
そろりと見上げると、間近で視線がぶつかった。
「な……なんだよ?」
「……なんで」
「……?」
「なんでそんなに……可愛いんだ?」
「はい?」
いや、真顔でいきなり聞かれても。
ていうか、毎度毎度、可愛い可愛い言いやがって。
確かに彼女ポジションかもしれないけれど、俺だって一応男だ。
可愛いと言われて嬉しいかというと……
(う……優真に言われるのは確かに、嫌じゃねぇんだよなぁぁ……)
思ったより遥かに嬉しく感じている自分がいて、俺は内心、盛大なため息をついた。
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